セクハラ、パワハラの「境界線」 若手社員が多い会社の社長が思うこと(大関暁夫)

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いかなる場合でも「ボディタッチはNG」です!

「とにかく、いかなる場合でも『ボディタッチはNG』は徹底しています。しかし、件の事務次官氏が『彼氏はいるの?』とかプライベートな話を聞いたことも問題視されていますが、上司サイドからスタッフのプライベートを聞くのはダメ、を徹底するのは難しい。なにしろ上司も30代が中心で独身者も半数以上いるわけで、休憩時間などにごく普通に『昨日の休みはどこに出かけたの?』と聞くような会話はありうるわけで、これを『プライベートを尋ねられて不快だった』と言われても、本当に困るのです」

   セクハラ以上に難しいのがパワハラ問題だそうで。これはもう組織運営にも支障が出はじめているだとか。

「パワハラ関連は、もっと始末に負えません。今の若者は叱られ慣れていないということと、うちの場合は叱る側も若いので叱り慣れていない。パワハラ自体の存在有無の実態把握がまったくできないのです。言われたほうは、少しきつい口調で指導をされると、『パワハラを受けて、会社に行きたくなくなりました』と。極端なケースになると、会社に相談することなくネット上に『どこどこの携帯電話販売店の店長からパワハラを受けています』などと、会社や店までが特定できるように書き込んで、ブラック企業呼ばわりするようなケースも過去にはありました」

   M社長はこのようなパワハラ騒ぎの弊害として、2つのことをあげています。

   ひとつは、パワハラの意識なく普通に指導したと主張している上司が、「普通に指導してもパワハラ呼ばわりされるのなら、どう指導していいのか分からない」とパワハラ疑惑怖さから指導放棄気味になること。もう一つは、退職した人間も含めた会社関係者からの口コミやネット上の書き込みによって「パワハラ職場=ブラック疑惑」がジワジワ広がり、採用難状態が輪をかけてひどくなっていること。

   どちらも、経営にとっては深刻な問題です。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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