中小企業が資金決済に使う手形・小切手の交換高(手形交換高)は、2017年に374兆1580億円となり、2年ぶりに減少した。東京商工リサーチが2018年4月17日に発表した。
手形交換高がピークだった1990年(4797兆2906億円)と比べて92.2%減の大幅な減少で、とうとう1割以下に減った。
手形交換所はピークから4割超の減少
中小企業の資金決済の重要な手段である手形は右肩上がりで増えてきたが、大企業の手形印紙税や管理にかかる人件費などのコスト削減で現金決済が広がり、それが中小企業にも波及したことで、1990年を境に一気に減少している。
2017年の手形交換高は374兆1580億円で、前年比11.8%の減少。全体のおよそ半分(49.5%)を占める大阪手形交換所は、前年比9.8%減の185兆5250億円となった。
手形交換枚数は5549万枚で、過去最低だった16年(5942万枚)から、さらに6.6%減少。最低記録を塗り替えた。
ちなみに、大阪手形交換所は1879(明治12)年に開設された、日本初の手形交換所だ。
その手形交換所もピークの1997年(185か所)と比べて、42.1%(78か所)減少した。 手形交換所は、高度経済成長期の1968年に100か所を超え、1987年、1988年、1997年に最多の185か所を数えた。2017年は2か所が廃止され、107か所となった。
「でんさい」は急成長
手形の減少は中小企業の資金調達にも変化をもたらしている。受取手形を手形割引や裏書譲渡に使えず、資金余力に乏しい企業は金融機関への依存度を高めている。
一方、2013年2月にスタートした全国銀行協会の電子記録債権(でんさい)は急成長している。利用者登録数は2017年12月末で45万2600社を数え、スタート時から9.9倍に増えている。また、2017年の発生記録請求金額は、前年比33.5%増の14兆9128億3700万円と大幅に増えた。
ただ、いまだ手形交換高の3.9%にとどまっているほか、利用者登録数は頭打ちの傾向にある。
激減したとはいえ、手形交換高は374兆円超にのぼり、現在もなお手形が中小企業の資金繰りに重要なことは変わらない。