「定め」があれば、会社は残業を頼む場合がある
正社員に対する怒りの声がある一方で、「パートの残業は仕方がない」とする人の大半は、「契約書に書かれているから」というものだ。記事中でも、労務問題に詳しい石崎冬貴弁護士が「パートに適用される就業規則や雇用契約書に、所定労働時間を超える労働(残業)があると明示していれば、会社は残業を命じることができる」と指摘していた。
自らパート・アルバイトという人がこう語った。
「残業を頼まれる場合があるので、たまにしている。他のパートの人もしている。1時間2時間残るのはかなり大きいですが...... もちろん、残業を頼む場合があるという『36協定』を結んでいますので」
「36協定」とは、会社(事業所)と労働組合などが結ぶ「時間外・休日労働に関する協定」で、労働基準法第36条に基づく。パートについても、雇用契約書、就業規則に定めがあれば、会社は時間外および休日労働を頼むことができる。
そもそも、なぜパートの残業が発生するのか――。会社側の責任を厳しく追及する声がいくつかあった。
「Aさん...... 仕事が早く予定の内容をこなし、時間できちっと帰る。Bさん...... 仕事が遅く、ダラダラと残業し、それを気にもしない。Aさんの3分の2も働けていない。時給が同じだとAさんよりBさんの給料が高いという悲しい現実。パートの時給は実力で評価されない。能力の高い人がやっても終わらない仕事なら、明らかな人手不足。能力の低い人にダラダラやらせているなら、指導不足。残業が常態化しているなら雇用時間を変更したらいい。保険加入させたくないから長時間の契約ができないのなら呆れるしかない」
「労働者の責任感とやらに会社は甘えすぎ、都合よく使いすぎ。レジに客が列をつくっていたら、勤務時間を終わっても一区切りするまでやっていくのを美徳にしていたら、いつまでたっても残業なんて減らせないよ。パートや派遣さんは時間になったらサッと上がれるような体制を考えるのが会社のやるべきことでしょ」