2017 年度の「人手不足倒産」は、前年度と比べて44.3%増の114 件が発生し、年度の合計で初めて100件を超えた。帝国データバンクが2018年4月9日に発表した。13年度以降、4年連続で前年度を上回り、当時と比べて2.5倍に増えた。
17年度の倒産件数は8285件で、全体に占める割合は1.4%とわずかだが、倒産件数、負債総額ともに増加傾向にある。
運送業は特に深刻......「引っ越し難民」も発生
帝国データバンクでは、従業員の離職や採用難で人手を確保できず、収益悪化などを要因とする倒産(法的整理、負債1000万円以上、個人事業主含む)を「人手不足倒産」と定義。2013~17年度まで5年間の倒産について集計・分析した。
それによると、2017年度の人手不足倒産は114件。13~17年度までの5年間で発生した人手不足倒産の件数は累計で371件、負債総額は836億5300万円にのぼった。
負債規模別件数をみると、17年度は「1億円未満」が57件で前年度と比べて32.6%増えた。「1~5億円未満」も50件発生。同78.6%の大幅な増加となった。
また、業種別でみると、17年度は「建設業」が前年度比34.8%増で、最多の31件。このほか、「製造業」や「小売業」「運輸・通信業」などでも増加が目立ち、幅広い業種で倒産が増加傾向となった。
この5年間の累計では、「道路貨物運送」が26件で最多。このうち、直近の17年度は10件で前年度比2倍と急増した。
運送業界の人手不足は深刻。この春は希望時期に引っ越しできない「引っ越し難民」が大きな話題となった。茨城県庁では新年度前に県職員自らが荷造りや運搬作業に対応する状況などが報じられた。
さらに、飲食店や小売店では人手不足で深夜営業や年中無休を廃止する店舗が相次ぎ、保育や介護では定員まで入所者を受け入れできない施設が出るなど、人手を確保できずに収益機会を失ったり事業縮小に追い込まれたりする企業がみられる。
都道府県別では、東京都が39件で最多。福岡県の22件、北海道と大阪府の18件が続いた。
「低賃金で人が集まると思うな!」の声も
こうした調査結果に、インターネットの掲示板などでは、
「賃金増やせアホ。今までと同じように低賃金で人が集まると思うな!」
「まあ、給与だけじゃなくて居心地ややる仕事にもよるだろうな。3Kとか夜勤なら、かなり出さないと人は来ないよ」
「すごい時代だね。ふつう人手不足なら賃金を上げて人を集めるが倒産を選ぶんなんてさw」
「ワープアより生活保護のほうが金もらってる現状をなんとかすべきだと思うぜ」
「あれ、アベノミクスで景気いいんじゃねえのwww」
などといった声が寄せられている。
なかには
「人手不足だから倒産しても職はあるなw」
と、なにやら楽観的な声も。
帝国データバンクは、「従業員の定着率の向上や新規採用のため、賃上げ機運が高まるなか、やむなく賃上げに踏み切ったものの、生産性の向上を果たせず倒産に追い込まれるケースが散見される。人手の確保が経営のボトルネックとなり、とりわけ人件費上昇分を製品やサービス価格へ転嫁しづらい小規模企業を中心に、さらなる人手不足倒産の増加が懸念される」と、分析している。