介護Uターンの「コツ」教えます
そもそも、「仕事と介護の両立」はハードルが高いと思われがち。まして介護Uターンともなれば、なおさらだ。しかし、継枝さんは「介護の鉄則は、早期発見、早期対策」と指摘。それを考えると、やはり近くで暮らすのが介護する側、される側の双方にとって安心で、かつ先手先手で対応できる。「なにより、いざという時に『もっと早く気づいてあげればよかった』という、後悔を回避できます」と説く。
継枝さんは、「実際に介護Uターンした方が感じていることとして、それまで故郷を離れて暮らしていたことで、両親とすごせなかった『空白の時間』を埋められることが大きいといいます」と話す。
一方、最近は「働き方改革」の推進で、企業も介護休業(最大93日まで取得。給与の67%まで介護休業給付金が支給される)を整備。ただ、それを取得して介護に専念できている人はそれほど多くない。
継枝さんは、「介護は、まず周囲の理解が大事。妻(あるいは夫)や家族、職場にも理解してもらうことです。理解がなければ、休みもとれません。休みがとれれば、地元に戻る時間ができますし、就職や生活のことでいろいろと相談できます」と強調。しかも、この介護休業は「転職時には、それまで勤めていた企業と地元企業の2度、取得できます。これを上手に使って、じっくりコミュニケーションをとっていくことが大切です」と、U ターン転職の「コツ」を伝授した。
介護休業を上手に取得することで、介護保険を活用するうえで欠かせない、ケアマネジャーや介護サービス事業者とのコミュニケーションも迅速かつ円滑になるという。
介護Uターンの事例を紹介した北九州市U・Iターン応援オフィスの安田亜紀子さんによると、2017年に北九州市にU・Iターン事業で就職を決めたのは222人。登録から、新たな仕事につくまでは、平均317日だった。
北九州市は今後も、東京事務所などの首都圏でUIターンや移住のためのイベントを実施する予定。小倉北区と東京事務所内に常設している「北九州市U・Iターン応援オフィス」でも、随時相談を受け付けている。