タカタ、ジャパンライフ、森友学園...... 不祥事によるビッグ倒産が増加

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   「アッキード事件」などと呼ばれ、財務省の文書改ざん問題にまで発展した森友学園、欠陥エアバッグ問題で戦後最大の経営破たんとなったタカタなど、2017年度は不祥事などが原因の倒産が増えて195件に達した。

   東京商工リサーチが2018年4月4日に発表した業法・法令違反や脱税、粉飾決算などの「コンプライアンス違反」による倒産状況調査でわかった。16年度は179件で、3年ぶりに前年度を上回った。

  • 不正で倒産する企業が増加
    不正で倒産する企業が増加
  • 不正で倒産する企業が増加

経営不振から抜け出せない中小企業が「粉飾」に走る

   2017年度に、コンプライアンス違反で倒産した195件の負債総額は、約1兆8000億円と、前年度の16倍にも膨らんだ。

   これは負債額1000億円を超える大型倒産が2件あったためだ。自動車部品メーカーのタカタは、欠陥エアバッグ問題を引き起こし、負債総額が約1兆5000億円と、製造業では戦後最大の倒産となった。

   家庭用磁気治療器のマルチ商法で被害者が全国に広がり、消費者庁から1年間で異例の4度の業務停止命令を受けたジャパンライフが、負債総額2400億円で破たん。被害金額は1000億円を超えるといわれ、同社の代表者は刑事告発され、愛知県警が捜査中だ。

   ほかにも、小学校開校をめぐり建設費を水増しして国の補助金をだまし取った容疑で籠池泰典前理事長らが逮捕された学校法人・森友学園(負債額16億円)や、脱毛エステの会員勧誘広告の内容が誇大なうえ、解約した会員への返金を拒んだとして消費者庁から行政処分を受けた脱毛サロン大手グロワール・ブリエ東京(負債額49億円)、高級外国ブランドの偽物バッグなどを販売、社長らが逮捕された輸入バッグ・婦人服販売アールプラン(負債額1億5000万円)など、メディアを賑わした倒産が多かったのが特徴だ。

   「コンプライアンス違反」倒産は過去5年間、2014年度の216件をピークに15年度が191件、16年度が179件と減少する傾向にあった。これは、ここ数年の景気回復傾向により倒産件数が減っているのに加え、コンプライアンス意識が経営者に浸透したためと見られていた。

   ところが今回、増加に転じたのはなぜか。東京商工リサーチの分析によると、まず違反内容で、虚偽の決算書や不適切な会計処理などの「粉飾」が前年度より2.5倍に急増したことが目を引く。大手企業を中心に好業績が目立つなか、業績改善のピッチが鈍く、経営不振から抜け出せない中小企業が依然として多いことが浮き彫りになった。

   最近は金融機関や取引先に正確な情報開示が求められるようになり、「一時しのぎ」の粉飾が表面化し、経営破たんするケースが増えた。

   また、政府が「働き方改革」を掲げるなか、従業員の給与未払いなど「雇用関連」の違反も約9割増えた。

福祉施設で目立つ公金横領や介護報酬の不正請求

   また、市場規模が拡大する介護福祉業界で、コンプライアンス違反による倒産が14件と、調査開始以来最多を記録した。背景には、介護報酬の不正請求などで介護保険法に基づき行政から指定取消・停止処分を受ける施設や事業所が年々増え続けていることがある。

   厚生労働省の調べでは、2006年に取消・停止処分のあった施設は79件だったが、2016年には244件と3倍に増えた。

   たとえば、有料老人ホームや訪問介護の「あそかライフサービス」(東京都江東区・負債額3億円)は、運営する社会福祉法人の公金横領が発覚。従業員の退職が相次ぎ、人手不足に陥った。介護付き有料老人ホームの「環境福祉基盤」(岐阜・負債額4億円)は、看護師が勤務しているように偽装し介護報酬を不正請求した容疑で経営陣が逮捕され破産した。

   東京商工リサーチでは「今後の景気動向の次第では、コンプライアンス違反が露呈して経営破たんに至るケースがさらに増える心配がある」と、指摘している。

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