福祉施設で目立つ公金横領や介護報酬の不正請求
また、市場規模が拡大する介護福祉業界で、コンプライアンス違反による倒産が14件と、調査開始以来最多を記録した。背景には、介護報酬の不正請求などで介護保険法に基づき行政から指定取消・停止処分を受ける施設や事業所が年々増え続けていることがある。
厚生労働省の調べでは、2006年に取消・停止処分のあった施設は79件だったが、2016年には244件と3倍に増えた。
たとえば、有料老人ホームや訪問介護の「あそかライフサービス」(東京都江東区・負債額3億円)は、運営する社会福祉法人の公金横領が発覚。従業員の退職が相次ぎ、人手不足に陥った。介護付き有料老人ホームの「環境福祉基盤」(岐阜・負債額4億円)は、看護師が勤務しているように偽装し介護報酬を不正請求した容疑で経営陣が逮捕され破産した。
東京商工リサーチでは「今後の景気動向の次第では、コンプライアンス違反が露呈して経営破たんに至るケースがさらに増える心配がある」と、指摘している。