人心一新の春、リーダーの交代で右往左往しないための心得(高城幸司)

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   4月なると、会社の人事が一新されて体制が大きく変わることがあります。筆者のところにもビジネスでかかわって来た方々が「これまで長くお世話になりました。この4月からは関西支社の責任者として赴任することになりました」と異動の挨拶で何名もおいでになりました。すると、ときには感傷的な気持ちになることもあります。

   お互いが苦楽をともにしたような仕事があったりして、

「あとのときは喧嘩腰でやり合いました。でも、その本気度がいい成果につながりました。いい思い出ですね」

と過去を懐かしく思い出したりもしました。

  • リーダー交代、接し方も考えなければ……
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リーダーは「カラー」を打ち出さなければと、もがく

   それだけ信頼関係が構築できていたのでしょう。ただ、担当が代わっても仕事は続きます。冷静に立ち返って「では、後任は誰ですか?」と質問をしなければいけません。

   さらに、担当の交代はチャンスあるいはピンチの可能性があります。新たな後任者はこれまでのような関係が構築できないかもしれない。あるいは逆のさらなる良好な関係になるかもしれない。その理由は後任者で前任のスタンス(仕事のすすめ方)を否定、別のやり方に変える人が多いからです。

   前任から引き継いだ仕事に対して「そのまま踏襲します」ではなく、「新しいことをやりたい」と考える人がいます。

   しかも、職場でリーダーを任されるような組織のトップに限り、多い傾向があります。任された新たな組織で過去の方針を見直し、否定することを「よし」とするのです。

   というのも、今までと同じやり方を踏襲してうまくいったとしても、「あの人は新しいことに対する挑戦心がない」とか「あの人自身のカラーがない」と言われてしまうからです。

   それゆえ、リーダーは自分のカラーを打ち出そうとするのです。たとえば、プロスポーツの世界で新たな監督に選ばれると「フレッシュな選手の積極起用」を明言し、これまで活躍してきた選手を先発メンバーから外す傾向があります。

   そして、その起用で勝つことが監督の力量として周囲も評価する傾向があるからです。ちなみに、開幕したプロ野球でも新監督に関しては新たに起用された選手が誰か、そして、活躍しているかをマスコミもファンも注目します。

   逆に、前監督と同じような選手を起用していると「代わり映えしない」とか、過去の遺産で食べているだけ...... と揶揄されかねません。ゆえに新監督になれば、これまで起用されてきた選手は戦々恐々。自分が先発から外される可能性が高まります。

後任リーダーのスタンスは早めに情報収集

   プロスポーツだけでなく会社の仕事でもリーダーの打ち出す「新たなカラー」には、過去の否定、ないしは過去と真逆のものが含まれている可能性も大いにあります。そうした場合にどうしたらいいのでしょうか?

   こうした職場のリーダーの交代で、いままで重宝されてきたスタンスが変わり、不要なものになる場合があります。

   たとえば、細かなミスよりも大胆な発想で仕事に取り組むスタンスのリーダーから几帳面でミスが許せないリーダーに交代したとすれば、どうか?

   許されたミスが許されなく可能性があります。そこでミスが起きないようなスタンスに変える覚悟が必要ではないでしょうか。さもないと「どうして君はミスが多いのだ」と厳しい指導や低い評価が待っているかもしれません。ゆえに、後任者となるリーダーのスタンスは早めに情報収集しましょう。

   こうした取り組みは姑息なのではなく、ビジネスをスムーズに行うためのプロトコル(手順や作法など)の変換と考えて取り組むべきです。あなたの関わるリーダーに交代があったらならば、早々のうちに取り組んでください。(高城幸司)

高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
「高城幸司の社長ブログ」
株式会社セレブレイン
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