2019年春入社を目指して就活シーズン真っ盛りだが、フリーマーケットアプリのメルカリが、入社前の内定者も内定期間中の勉強によるスキルアップに応じて入社後の初任給が高くなる、新たな人事制度を導入した。
スキルを磨きたい人の渡航費用を全額負担、プログラミング学習支援や、英語や中国語などの語学留学の費用も補助する。新卒者の新入社員の初任給を、ほとんどの企業が一律に決めているなか、画期的な試みだ。
スキルを磨きたい人の渡航費用を全額負担
メルカリの人事制度は「メルグラッズ」(Mergrads)と呼ばれ、2018年4月以降に入社する新卒入社の社員と、これから決まる19年春以降入社の内定者を対象に導入する。
内定期間中にスキルアップした人ほど入社時の初任給が高くなる仕組みで、かつ若く優秀な人材の流出を防ぐ、囲い込み策ともいえそうだ。
メルカリは、2013年に山田進太郎氏(現会長兼最高経営責任者)が創業した若い会社だ。当初は既卒の人を多く採用していたが、2017年から新卒採用を本格化した。すると、多様な学生と接触するうち、それぞれのスキルや経験に差があり、一律の初任給で評価するのは適切ではないことに気づいたという。
J-CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に応じた人事担当のHRグループマネージャー、石黒卓弥さんはこう語った。
「当社には、既卒、新卒に関わらず一人ひとりを『プロフェッショナル』として評価を行うべきであるという考えが当初からありました。新卒採用を本格化して、実際に多くの学生と接触すると、学業や研究成果はもちろん、たとえばソフトウェアエンジニアであれば、プログラミングのスキルにもさまざまな差があります。これまで、新卒新入社員の初任給は一律に決めているケースが多いですが、個々人の能力や経験が反映されないのが実情です」
そこで、新人事制度では入社前の内定者も「プロフェッショナル」とみなし、社員と同様の基準で評価する。内定期間中であっても、学内外での活動を通してスキルアップした場合は、そのスキルに応じて新入社員時に、適正な年収を提示する。つまり、同じ内定者でも人によって初任給が異なってくるわけだ。
こうなると、内定期間中にスキルアップするため、たとえば海外の最新サービス・アプリを体験したいと短期留学を希望する人が出てくるだろう。そういった場合には、メルカリが渡航費用を全額負担するという。
石黒さんは「これまでの実績では、中国やインド、エストニアといった、最新テクノロジーを使ったサービスが発展している国へ渡航したケースがあります。内定者には、最先端サービスの勉強だけでなく、その国の文化や慣習にも触れてきてほしいと考えています」と語る。