インターネット証券大手のマネックスグループ(東京都港区)が、巨額の仮想通貨「NEM(ネム)」の流出事件を起こした「コインチェック」(東京都渋谷区)の買収を検討していることが明らかになった。
日本経済新聞電子版が2018年4月3日、マネックスが「コインチェックに、買収案を提示した」と報じたことを受け、マネックスは「買収を検討しているが、現時点で決定した事実はない」とのコメントを発表。「今後、開示すべき事実を決定した場合は、速やかに公表する」としている。
マネックス、「仮想通貨」参入に意欲
マネックスは、ブロックチェーン技術を活用した新しい金融と生活インフラの創造を最重要テーマと位置付けており、仮想通貨の研究に取り組むため、18年1月に「マネックス仮想通貨研究所」を設立。仮想通貨交換業への参入を含め、検討していた。
日経電子版によると、マネックスグループが子会社化する買収案を提示。コインチェックの議決権の過半を握り、経営陣も派遣する方針という。
一方、コインチェックは、日本円で約580億円相当の仮想通貨NEMが外部流出した問題で、金融庁から2度の業務改善命令を受けている。金融庁からは「経営管理体制の抜本的な見直し」を求められており、経営の立て直しには他社の支援が必要になっていた。
仮想通貨をめぐっては、17年4月に改正資金決済法が施行。それにより、金融庁が仮想通貨交換業者への登録制を導入。資産の分別管理などを義務付けた。その一方で、登録申請中であれば、「みなし業者」として営業を認めてきた。コインチェックは、「みなし業者」だった。
現在、登録業者は16社、みなし業者は16社。金融庁はすべてのみなし業者と登録業者の一部に立ち入り検査を実施。5社に業務改善命令、2社に業務停止命令を出した。
このうち、ビットステーションとミスターエクスチェンジ、来夢やビットエクスプレス、東京ゲートウェイの5社が撤退を表明している。