「禅」と「全」の精神で......
日本と「コネクト」したい。そんな思いの背景には、シー会長が「禅(Zen)」に傾倒していることもある。仏教を信奉していて、中国の禅はもちろん、日本の禅についても、時間をかけて勉強してきたというシー会長。「とてもシンプルで、とても美しい」。そんな意味を込めて、主力製品には「ZenFone」、「ZenBook」、「ZenPad」のように、ネーミングに「Zen」を冠している。
ちなみにASUSでは、アーティストよりの右脳思考と、エンジニアリングよりの左脳思考の両方をうまく活用する「デザインシンキング」を心がけている。そこに「Zen」のもう一つ、どちらかの脳に偏らない「全」(すべて)の意味が込められているのかもしれない。
「ただ考えるのではなくて、実現できるように考える。レオナルド・ダヴィンチのように、右脳も左脳も活用することを目指しています。『Zen』は、自分の考えが偏らないように、助けになってくれる存在でもあります」
ハードウェアとソフトウェアの関係においても、考えが偏らないように心掛けている。自身が大学でメカニズムを学んでいながら、社会人経験はソフトウェアからのスタートだったこともあり、両者は「切っても切れない関係」だと語る。以前はASUSでも、ハードウェアのエンジニアにソフトウェアを、ソフトウェアのエンジニアにハードウェアを、それぞれトレーニングしていたそうだ。
接客においても、ハードウェアやソフトウェアにおいても、「つながり(コネクト)」を重視するシー会長。「ASUS製品を購入して、それがきっかけで、使用者とご縁ができ、サービスなどでつながっていく」。
最後に、日本のユーザーへのメッセージを聞いてみた。
「私は日本を尊敬していて、これからもインタラクティブな関係を持っていきたい。日本と『コネクテッド』していきたい、つながっていきたい、一緒に前に進んでいきたい。そして、最良の体験と価値を提供していきたいと考えています」
写真:稲垣正倫(アニマルハウス)