その45 「改ざん」と書く「交ぜ書き」「こんなものいらない!?」(岩城元)

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意味が推測できる漢字は楽

   小説家で劇作家、放送作家であった故・井上ひさしさんは生前、

「新聞や雑誌の記事で『交ぜ書き』を見ると、なんとなくその日の御飯がまずくなる」
「とにかく交ぜ書きには力が抜けて閉口する」

と書いていた。

   かつて、よく売れた「日本人の知らない日本語」(蛇蔵&海野凪子著)という漫画本があった。その海外編に、オランダで日本語を学んでいる学生が交ぜ書きについて、

「あれ、やめてほしいです」
「漢字が沢山あるほうが楽ですよ。意味が推測できますから」

と叫ぶ場面があった。

   ただ、メディアの名誉のために言えば、最近は交ぜ書きが減ってきている。たとえば、以前は「改しゅん」「領しゅう」「ろっ骨」などと書いていたが、今は常用漢字表などにない漢字も使って「改悛」「領袖」「肋骨」と書き、ルビを振っている。

   ところが、「改ざん」は「改ざん」のままである。改竄の「竄」が18画もあり、とりわけ鼠という字が難しいからだろう。でも、読者にとっては、たとえ書けなくても、読めればいい。ルビさえ用いれば、済むことだ。

   もうひとつ、メディアの名誉のために付け加えると、僕が調べた限りでは、産経新聞と雑誌AERAは「改竄」と漢字を使っている。他のメディアも見習ってほしいものである。

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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