2018年3月初めから、新聞紙面やテレビ画面などに「改ざん」という言葉が躍るようになった。
財務省が森友学園との国有地取引に関する決済文書を書き換えたこと、言い換えれば、改ざんしたことが報道で明らかになり、野党側が連日、国会でその経緯や責任を追及しているからである。
改「竄」と書けば、よくないことのように思えてくる
もっとも、メディアによっては「改ざん」をできるだけ使わず、もっぱら「書き換え」としているところもある。しかし、財務省がやったことは単なる「書き換え」ではなく、国会ひいては国民を欺くなど、それを悪用する目的があったのだから、僕は「改ざん」と呼ぶべきだと思う。
安倍晋三首相も「行政の長として、その責任を痛感している。国民の皆様に深くおわびを申し上げる」と陳謝している。
さて、「改ざん」のように、平仮名と漢字が交じった表現を「交ぜ書き」と呼ぶ。この交ぜ書きの「改ざん」と、漢字だけを使った「改竄」という表現では、見た人に与える感じが随分と違うのではないか――。
「改ざん」だと、それがいいことなのか悪いことなのか、よく分からない。しかし、「改竄」の「竄」という字は「穴」の下に「鼠(ネズミ)」である。どうもよくないことらしい、と思えてくる。
多くのメディアが「竄」を使わないのには一応の理由がある。メディアはそれぞれ、内閣告示の「常用漢字表」を基にして自分たちが使う「漢字表」を作っているが、この中に「竄」という漢字がなく、かつ「改竄」は「改ざん」と交ぜ書きするように決めているからだ。