世界最大のSNS、フェイスブック(FB)のマーク・ザッカーバーグ氏が、激しい非難にさらされています。
2016年の大統領選挙で、FB利用者の個人情報がトランプ陣営の選挙コンサルタント会社に不正流出していたことが判明。FBの株価は急落し、アカウント削除を呼びかける運動には、あのイーロン・マスク氏も参加しました。
近年、微妙な関係がウワサされていたマスク氏とザッカーバーグ氏。両者の明暗を分けたのは......
シリコンバレーの人間関係は複雑?「FBアカウントを削除せよ」運動
フェイスブック利用者にアカウント削除を求める運動「#deletefacebook」に、カリスマ経営者のイーロン・マスク氏が参加して世間をあっと驚かせました。
.Musk deleted SpaceX and Tesla's Facebook pages in support of #deletefacebook.
(マスク氏は、「フェイスブック削除運動」に賛同して、スペースXとテスラのフェイスブックページを削除した)
※delete:削除する
※in support of:~に賛成して、支援して
一気に世界中に広がったハッシュタグ「#deletefacebook」ですが、文字どおりFBアカウントを「delete」(削除せよ)という呼びかけです。
「delete」は、パソコンのDeleteキー(Delキー)でおなじみの単語。「そうか、こういう使い方をするのか!」と思った方も多いでしょう。
「FB削除運動」に真っ先に参加したのが、メッセージサービス「ワッツアップ(WhatsApp)」の共同創設者、ブライアン・アクトン氏。自身のツイッターで、「facebookを消す時がきた」と呼びかけました。
It is time. #deletefacebook
(今がその時。フェイスブックを削除せよ)
ワッツアップは2014年にFBに買収されましたが、アクトン氏はそれにより巨額の冨を得たと言われています。
今回、マスク氏はアクトン氏の呼びかけに応じる形で「削除運動」に参加。インターネット上では、「アクトン氏は入社試験に落とされたからFBを憎んでいた」「マスク氏はザッカーバーグ氏のことを快く思っていなかった」などのウワサが飛び交っていますが、いずれにしても二人のカリスマ実業家が運動に乗ったことが「#deletefacebook」を加速させたことは間違いないでしょう。
ちなみにアクトン氏は、FB競合社の幹部に就任することが発表されています。「#deletefacebook」運動の背景に、シリコンバレーで繰り広げられている熾烈な競争と複雑な人間関係を垣間見た気がしました。
フェイスブック株、「飛び込むように一気に落ちた」
フェイスブックの個人情報不正流出は、同社のビジネスに大きな打撃を与えています。ニュースが報じられたとたんにFBの株価が暴落しました。
ここで、〈今週のニュースな英語〉です。
Facebook's value plunges $37 billion on data controversy.
(フェイスブックの価値はデータをめぐる論争で370億ドルも急落している)
さらに、米連邦取引委員会がFBの個人情報管理手法について調査を開始したことが発表されると、さらなる打撃に見舞われました。
Facebook's stock is taking another big plunge.
(フェイスブックの株価は、さらに暴落した)
「plunge」は、もともとは「飛び込む」という意味ですが、ビジネスの場面では価格や株価が「急に下がる」「暴落する」という表現でよく使われます。
「飛び込むように一気に落ちる」ので、激しい変化を伝える単語です。動詞だけではなく、「take plunge」(急落する)のように名詞でも使われます。
今回は、価格や株価が「下がる」時の表現を学びます。それぞれニュアンスが異なりますから、状況に応じて使い分けられると「上級者」です。
Facebook's shares fell.
Facebook's shares dropped.
(フェイスブックの株価が下がった)
「fell」は「fall」(下がる、落ちる)の過去形です。これに副詞を付け加えると、よりビビッドに状況を伝えることができます。
Facebook's shares fell sharply.
(フェイスブックの株価は急激に下がった)
Facebook's shares dropped drastically.
(フェイスブックの株価は大幅に下がった)
「drastically」は「大幅に」「大胆に」という意味。日常的に「ドラスティック(大胆)な変化」などと使っている方も多いでしょう。
Facebook's shares plunged.
(フェイスブックの株価は暴落した)
「plunge」は、「より激しく下がった」「暴落した」というニュアンスを伝えます。
一方、マスク氏が率いるロケット開発会社のスペースXと電気自動車メーカー、テスラには世界中の「夢」と「期待」が寄せられている様子。スペースXは2018年2月に大型ロケット「ファルコン・ヘビー」の打ち上げに成功しましたし、テスラが発表する斬新な車はファンを魅了し続けています。
赤字続きの業績にも関わらず、マスク氏への「期待値」で株価は高値。2017年4月、テスラの時価総額がゼネラルモーターズを抜いて、米国で最も企業価値の高い自動車メーカーになったことは記憶に新しいところです。
マスク氏VSザッカーバーグ氏。マーケットの評価を見る限りでは、マスク氏に軍配が上がりそうです。(井津川倫子)