国内では森友学園への国有地払下げ問題、米国では連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ発表に、鉄鋼の輸入制限や中国に対する知財制裁関税と、株価が大きく乱高下する材料が噴き出している。
そんななか、3月の学会シーズン(第17回日本再生医療学会総会・2018年3月21日~23日、パシフィコ横浜で開催)を終え、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J‐TEC)が動意づいてきたようだ。
「AIが細胞の善し悪しを判別」再生医療に弾み
J‐TEC株は2018年に入り、3月15日に1648円の昨年来高値をつけた後、1600円での日柄調整を経て、3月28日には日中の高値1758円と、毎日のように昨年来高値を更新している。
「再生医療はいまが『旬』と見る」と書いた前回2016年8月2日付の記事で、「2016年7月21日現在の株価は1286円。利益確保の、次のターゲットは2016年3月高値の1598円、15年5月高値の1650円、富士フイルムの取得価格1900円と続く」と記したが、2018年3月22日には、1650円の節目をクリアした。
次は、富士フイルムホールディングス(HD)の取得価格1900円を意識した攻防になるとみている。なぜなら、1650円~1900円の間に節目となるような、価格帯別の累積出来高が見受けられないからだ。
そうしたなか、3月26日付の日本経済新聞に、「再生医療、進むAI活用」と題して、「再生医療に使う細胞を効率的に作るため、人工知能(AI)を活用する研究開発が進んでいる。島津製作所や筑波大学などはそれぞれ、iPS細胞を増やす際に良質なiPS細胞を画像でふるい分ける技術を開発した。現在は経験を積んだ研究者の判断や手作業に頼っている。自動化で大量増殖が可能になれば、再生医療の応用研究に弾みがつきそうだ」との記述を見つけた。
さらに、再生医療に使う細胞をつくる際には「細胞の塊」が大量に必要になるそうで、「東京大学の池内真志講師らは、死んだ細胞を含む塊などを除去する技術を開発した」とも書かれていた。
記事によると、横浜市で開かれた日本再生医療学会では、AIを活用する研究発表が相次いだもよう。「AIが画像で細胞の良し悪しを判別し、ロボットで選別・排除する」研究が進めば、再生医療の応用研究に弾みがつき、再生医療を手がけるJ‐TECにも生産性向上でプラスに働く可能性があるのではないだろうか、と考えた。