日本人が陥りやすい投資の罠 「負ける人」はこんな人(小田切尚登)

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   投資家は利益の最大化を求めて日々頑張っている。しかし、人間はコンピューターではないので、常に合理的な意思決定をしているわけではなく、無意識のうちにいろいろと非合理的なことをしていることが多い。

   今回は、投資の分野でわれわれが最も陥りやすい問題をご紹介したいと思う。

  • 売りどき、買いどきに悩む……
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「損失を過度におそれる」

   日本人は、一般的にアメリカ人に比べて株式投資に消極的だと言われる。「日本人はリスクについて慎重であるから」などと言われたりするが、要は失敗を経験したくないということではないか。

   ノーベル賞を受賞した心理学者カーネマンによると、人が損した時に感じる精神的なショックは、儲けた時に感じる喜びの倍にもなるという。そうであれば損だけはしたくない、と思うのも人情といえる。

   しかし、損失をとにかく避けるということばかりを考えて投資をすることには問題が多い。価格変動の小さい投資ばかりに偏ると、うまみのある投資はできなくなる。「とにかく損したくない」というスタンスの人には、ビットコインとか成長株などを長期間保有して大きく儲ける、というようなことは不可能であろう。

   それから、投資をするときは、頻繁に損益をチェックして一喜一憂を繰り返す、というようなやり方はやめたほうがいい。損したことばかりが記憶に焼き付いて、ネガティブな感情ばかりが増幅されてしまうからだ。投資対象からそれなりに距離を置いて、客観的に結果を判断できる姿勢を取るよう心がけるべきである。

「株価上昇ですぐに売るくせに、下落してもなかなか売らない」

   自分の持っている株の価格が上がると、人はうれしい半面「この儲けを早く確定しておかないと、いつ下がりはじめて元の木阿弥にならないとも限らない」などと考えるようになる。

   すると、不安にかられて、あわてて売ってしまい、将来もっと上がっていくチャンスをみすみす逃すことになる。

   逆に株価が下がると、「何とか復活してほしい」という感情が支配してしまう。そこで「塩漬け」などと称して「見てみないふりをする」という行動に出る個人投資家が少なくない。

   損した状態で売ってしまうと損が確定しまい、自分の負けとなるので、それを認めたくないのだ。

   しかし、本来は「傷口は浅いところで止めておかないといけない」場合も多い。失敗と向き合うことはつらいが、本当にダメな株なら早く売るべきなのだ。

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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