飲食店主を悩ませる「ドタキャン」は、経営の存続を脅かす大問題につながりかねない。
そこで、個人飲食店のオーナーたちでつくる全日本飲食店協会がドタキャンを防ぐシステムを構築する動きを、J-CASTニュース会社ウォッチ編集部は2018年2月15日付の「飲食店が立ち上がった!相次ぐ『ドタキャン被害』に常習者の電話番号をブラックリスト化」で、また3月9日付のJ-CASTニュースでも、おそらく日本で初めてのドタキャン客に対する損害賠償請求訴訟を「飲食店『ドタキャン』裁判を傍聴わずか1分で店側勝訴、弁護士が明かした対策」で報じた。
常習者のブラックリスト化に個人情報保護法の「待った!」
その後、この予防システムはどうなっているのか、また、なぜドタキャンが増えているのかなどを、会社ウォッチ編集部が、協会理事長を務める「洋食グリル天平」(兵庫県姫路市)のオーナー、関良祐さんと、ドタキャン裁判の原告側代理人を務め、飲食店の法律問題に詳しい石崎冬貴弁護士(横浜パートナー法律事務所)に聞いた。
予防システムは、各飲食店が持っている過去のドタキャン客の電話番号をデータベース化。予約の電話が入った時点で、店側がアブナイ客かどうかを照合して対策を考えるという流れ。いわば、ドタキャン常習者のブラックリストをつくるのが狙いだ。
関さんによると、「予防システムに加入する飲食店は、2月19日のスタート直後の2週間で300店以上を突破して、順調に増えています」という。
ただし、当初はブラックリストに登録するのは電話番号だけなので、個人情報上の問題はないと判断していたが、政府の独立機関「個人情報保護委員会」から「指導」が入った。たとえ電話番号だけとはいえ、本人の同意なしにシステムに登録するのは個人情報保護法に抵触すると指摘されたのだ。
関さんは語る。
「電話番号だけなら個人情報になりませんが、店が電話で予約を受けた時に名前も聞きとるため個人情報扱いになるそうです。そこで協会として改めてガイドラインをつくり、予約を受け付ける際、客に『無断でキャンセルした場合は、予防システムに登録します』と説明し、合意を得るようにしました」
その結果、ドタキャン常習者の登録はゼロからの出発になった。それでも早くも数人がリストアップされる有様だ。店から「ドタキャンするとブラックリストに載せる」と明言されながら、ドタキャンする者がわずか2週間以内に約300店で数人も出たわけだ。「やはり、かなり多いです」と、関さんは嘆いた。