その44 飲食店の「タッチパネル」「こんなものいらない!?」(岩城元)

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店員の「おまちどうさま」も消える?

   そうは言っても、パネルのおかげで、客と店員との会話が減ることはどうも寂しいし、不便でもある。これまでなら、「生ビールとみそラーメン。生ビールは先に持ってきてね。みそラーメンは少し遅めに」などと一気に言えたのに、パネルではそれができない。別々に注文しなければならない。

   でも、この店の場合、会話という点では、まだましである。飲みものや料理は店員が「おまちどうさま」と言いながら、運んできてくれる。

   たまに行く回転ずしの店もパネルで注文するのだが、すしを届けてくれるのは店員ではない。新幹線の形をした玩具の列車が、テーブル脇に設けられた線路を走って届けにくる。店に入ってから出るまで、店員との会話はほとんどない。

   スマホのおかげで、人間同士の生身の会話が減りつつある。タッチパネルはそれに拍車をかける。パネルは一時的には店にとっていいものであっても、長い目で見れば、人と人との絆を壊していく。人間社会にとって弊害が大きいのではないだろうか。

   僕自身にはいいアイデアがなくて申し訳ないのだけど、店のほうも「人手不足→合理化→タッチパネル」と、単純に考えないで、もう少し知恵を絞ってほしい。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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