その44 飲食店の「タッチパネル」「こんなものいらない!?」(岩城元)

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   大衆的な中華料理店に入って、女性の店員に「まず、生ビールを中ジョッキで」と言うと、彼女は僕がいるテーブルの端のほうを黙って指差した。

   そこには「タッチパネル」が置いてあり、注文はこれを使ってやることになっているのだ。

  • 中華料理店のタッチパネル。注文するのに、これまでの何倍もの時間がかかる。(東京・板橋で)
    中華料理店のタッチパネル。注文するのに、これまでの何倍もの時間がかかる。(東京・板橋で)
  • 中華料理店のタッチパネル。注文するのに、これまでの何倍もの時間がかかる。(東京・板橋で)

人手不足の解消はわかるけど......

   タッチパネルの画面には「ドリンク・おつまみ」「焼きギョーザ」「チャーハン・丼」「ラーメン・焼きそば」「一品料理」「デザート」などの項目が並んでいる。まず「ドリンク・おつまみ」に触れると、生ビール(中ジョッキ)、瓶ビール、日本酒、紹興酒、チューハイなどのメニューが出てきたので、「生ビール」に触れた。

   さらに「1杯」→「注文確認」→「注文する」というふうに、何回もパネルに触れて、やっとジョッキ1杯の生ビールにありつけた。あ、そうそう、「あなたは20歳以上で、お車を運転されないお客様ですか」という質問も出てきた。

   料理をいくつか注文しているうちに、注文するつもりのない料理に指が触れてしまい、それが画面に現れた。どうしようか? すると、「店員呼び出し」という項目が目についた。そこに触れると、男性の店員がすぐ「どうなさいましたか」と言いながら寄ってきた。

   こんなパネルを導入した店の気持ちはよく分かる。何しろ、人手不足である。店員には一見してベトナム人、中国人などと思われるアジア系の若者たちも目立つ。求人には苦労していることだろう。

   それに、外国人だから、慣れないうちは注文を取り間違えることだってあるだろう。パネルだと、その心配もなくなる。

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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