「NO」と言いづらい労働弱者 フリーランスが「独禁法」で守られるワケは?

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具体的に、どういう行為がアウトなの?

   公正取引員会は、今回の検討会の報告書を公表しています。それによると、複数の企業が共同してフリーランスに対して支払う対価を取り決めたり、移籍や転職を制限することを取り決めたりすることは独占禁止法上問題となる場合があるとされています。

   また、発注者がフリーランスに対して実際と異なる条件を提示したりして、他の発注者との取引を妨げることや、義務の内容について実際と異なる説明をして、フリーランスに過度な秘密保持義務または競業避止義務(他社の仕事を受けさせないこと)を受け入れさせる行為も問題があるとされています。

   報告書には、他にもさまざまな問題点が記載されていますが、公正取引委員会はフリーランスの労働環境についても市場のメカニズムが十分に発揮されるよう公正かつ自由な競争を促しています。

   相談者の方は、フリーランスが独占禁止法でどのように守られるのか知りたい、ということでしたので、少し難しい文言が並んでいますが、ぜひ読んでください。そして理解を深め、社内全体でしっかり共有していただきたいと思います。
(参考:人材と競争政策に関する検討会報告書)

   ●まとめ

   終身雇用が主流でなくなりつつある近年では、個人の働き方が多様化しています。今後はひとつの会社に勤めるのではなくフリーランスとして働く方も増加していくことでしょう。しかし、フリーランスの方々を保護する法律はほとんど整備されていません。今回の公正取引委員会の見解で、相談者さんがお話しされたライターさんやデザイナーさんのような、フリーランスの方々の労働環境が少しでも改善されることを期待しています。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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