「NO」と言いづらい労働弱者 フリーランスが「独禁法」で守られるワケは?

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   会社に属さず、自身のスキルで仕事を請け負っていく「フリーランス」という働き方は、もはや珍しいものではありません。先日、仕事で近くの貸会議室を利用しましたが、フリースペースにはノートパソコンを開き、携帯電話で取引先とやり取りしながら仕事をしている人がたくさんいらっしゃいました。

   しかし、フリーランスはそのような自由な働き方ができる一方で、収入の不安定さや法律による保護が追いついていませんでした。

   今回はそんなフリーランスから、ご相談がありました。(文責:「フクロウを飼う弁護士」岩沙好幸)

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事例 = ライターやデザイナーを使う広告制作会社のケース

   広告制作会社に勤めています。わたしの勤めている会社では、プロジェクトによってフリーのデザイナーやライターと契約することがよくあります。先日、わたしのプロジェクトに入ってもらったデザイナーさんと話した時に「ここは契約がきちんとしていて助かる。他の会社だと、契約書がもらえないなんてざらで、急な変更のせいで作業が増えても報酬は増えないところが多いんですよ」と愚痴をこぼしていて、その時、初めてフリーランスの人は労働法で保護されていないことを知りました。

   同じように仕事をしてくれている人なのに、そんなのあんまりだと思っていた矢先に新聞で、独占禁止法でフリーランスの契約が保護されるという見出しを見つけました。独占禁止法で、どのように契約が守られるのか――。雇用する側としても知っておきたいので詳しく教えてください。

   弁護士回答 = なぜ労働基準法ではなく、独占禁止法?

   フリーランスやスポーツ選手、芸能人などの「個人の働き手」を、独占禁止法で保護しようと、公正取引委員会が初めて見解を出したのは2018年2月のことです。新聞やニュースでも大きく報道されましたので、相談者さんのように目にした方は多かったと思います。

   労働者を守る法律としてすぐに思い浮かぶのは「労働基準法」だと思いますが、なぜフリーランスの方々はこの法律で守られないのでしょうか。

   まず、労働基準法上の「労働者」として保護されるためには、使用者の指揮監督下にあることが必要です。具体的には、仕事の依頼に対する諾否の自由があるか、勤務時間に関する定めがあるか、報酬の額、他社の業務に従事できるかなどの事情を総合的に判断して「労働者」か否かが決まります。

   ですから、フリーランスだからと言って必ずしも労働者に当たらない、というわけではないのですが、労働者とみなされない場合が多いのです。そのため、企業側から不利な条件を押しつけられることも多く、問題視する声が上がっていました。

   そこで今回、公正取引委員会は「労働者」にあたらず労働基準法で保護されないフリーランスの方々を独占禁止法で保護するための検討会を開きました。

岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼っている。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」を更新中。編著に、労働トラブルを解説した『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。
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