スルガ銀行が負った傷
「かぼちゃの馬車」の仕組みは、オーナーが銀行ローンを組んでシェアハウスを所有し、スマートデイズがシェアハウスを一括で借り上げ、家賃を保証する。オーナーは融資を受けて物件を購入し、継続的な家賃収入で利益を得るサブリースだ。
そのオーナー向け融資を実施していたのが、スルガ銀行。そして、このビジネスモデルを事あるごとに賞賛して紹介していたのが、森長官だった。
しかし、「かぼちゃの馬車」の実態は、入居率が5割を下回り、オーナーへの家賃保証を継続できる状況ではなかった。2018年1月、スマートデイズはついにオーナーへの賃貸料の支払いを停止した。
これにより、スルガ銀行への融資の返済が滞り、破たんに追い込まれるオーナーが続出する事態となった。オーナーらで構成する「スマートデイズ被害者の会」はスルガ銀行に対し、集団訴訟も辞さない構えだと報じられている。
これが、森長官が褒め称えた新たな銀行ビジネスの末路でもある。
もちろん、地銀も経営努力を進めていかなければならないのは、言うまでもない。しかし、詐欺まがいのビジネスの片棒を担ぐような融資スタイルが、本当に地銀に求められた新たなモデルなのだろうか――。経営が苦しい時期だからこそ、金融庁も含め、地銀は本当の地域金融のあり方を真摯に考えていく必要があるはずだ。(鷲尾香一)