インターネットで個人同士が商品を売買する、オークションやフリーマーケットサービスの利用が広がるなか、「商品が届かない」「代金が支払われない」といったトラブルが急増していることが、国民生活センターの調査でわかった。
2018年2月22日に発表した。寄せられた相談件数は2017年に3330件に達し、12年の173件の約20倍に増えた。
トラブルは「当事者間」の話し合いで......
フリマサービスの取引の流れは、おおむね次の手順で行なわれる。
(1)出品者が商品を「出品」、入札が行なわれ、最高値をつけた人が「購入」する。
(2)購入者は商品代金をフリマサービスに支払う(フリマサービスがいったん商品代金を預かる)。
(3)フリマサービスは購入者が支払いを完了した旨を出品者に通知。
(4)出品者が商品を購入者に発送。商品を受け取った購入者は、商品の中身を確認、出品者を「評価」する(5段階評価が多い)。
(5)一方、出品者も取引の印象等を参考に購入者を「評価」。
(6)出品者が振込申請をすると、フリマサービスから出品者の銀行口座に商品代金が振り込まれる。
フリマサービスでは利用規約の中で「利用者間のトラブルには介入しない」と定めているところが多く、個人取引の場を提供するだけで、問題は当事者間で解決しろという立場だ。
また、双方の「評価」を確認してからフリマサービスが決済するため、購入者が商品を受け取る前に出品者を「評価」したり、フリマサービスの決済システムを使わず、当事者同士で商品代金を支払ったりする行為を禁じている。
トラブルの多くは、こうしたルールをよく理解しなかったり、ルールの裏側で個人取引をしたりすることから起こる。
たとえば、こんな例だ。
【事例1】商品が偽物だったが、返品を拒否された
入手困難なパーカーが出品された。通常約2万5000円で販売されているが、「1回着用の美品」という表示を信じ約2万3000円で購入した。商品が届いたが、生地の質感などに違和感があり、偽物だと思った。メールで出品者に「偽物なので返品したい」と伝えたが「本物を送った。返品の際に偽物にすり替えられる恐れがある」と拒否された。フリマサービスに相談すると、「当事者間で話し合うように」と返事が来た。(40代男性)
【事例2】購入者に偽物と言われ、商品代金が支払われない
ブランドバッグを購入者に送ったところ、購入者から「バッグを査定に出したが、高い値がつかなかった」と連絡があり、返品を希望された。古い型だが欲しい人もいるだろうと思って出品しただけなので、「返品は受けない」と伝えると、「値がつかないのは偽物だからだ。支払金を受け取れないようにしてやる」と返事がきた後、連絡が途絶えた。購入者からの評価がされないため、バッグを送ったのに商品代金を受け取れない。(30代女性)
中高校生が酒や加熱タバコを買うケースも
【事例3】商品到着前に、出品者から評価を求められた
カメラを購入した。商品代金約10万円を支払ったところ、出品者から「商品受取前に評価してくれ」と求められた。拒否すると、出品者が「先に評価することが条件」「評価しなければ発送しない」と言ってきた。欲しかったカメラだったため、言われるままに評価した。しかし、商品が届かないので、配送事業者に確認すると、商品が出品者に途中で返送されていた。出品者に連絡しても返信はない。(20代男性)
【事例4】ルール以外の方法で支払い、商品が届かない
スニーカーを購入した。出品者から「今日中にお金が必要なので、直接自分の銀行口座に代金を振り込んでほしい」と言われた。「信用できないし、フリマサービスを通してではダメなのか」と聞くと、「今日は土曜なので月曜にしか入金を確認できない」。不審に思ったが、どうしても欲しかったので、出品者の氏名と住所を確認した上で銀行口座に代金を振り込んだ。出品者は「月曜日に入金確認後、商品を発送する」と言ったが、それっきり連絡がなく、商品も届かない。(20代男性)
また、最近多いのが、中高生が店頭で買いにくい酒や加熱タバコをフリマサービスで買うケースだ。ちなみにタバコはネット販売できないが、加熱タバコはOKなのだ。
【事例5】未成年者が酒を買っていた
中学生の息子宛ての荷物が「割れ物」だったため不審に思い開封すると、酒が入っていた。フリマサービスで酒を購入し友人と飲んでいた。出品者に連絡したが「相手の年齢までは確認できない」と言われた。フリマサービスに苦情を言ったが、「個人間売買の場を提供しているだけ」。未成年者が簡単に酒を購入できるサービスは問題だ。(30代男性)
中国国内で人気の商品が裏取引でだまし取られる
こんなケースもあった。J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部がフリマサービスをよく利用する都内の60代女性Aさんに取材すると、最近、日本製カメラやブランド物ファッションなど、中国などで人気が高い商品を転売目的でだまし取る外国人が暗躍しているという。Aさんが語る。
「キヤノンの中古カメラなどを出品すると、何年使った物かなどの商品情報を問い合わせるメールコーナーに、英語で『ほかの落札者の倍以上のカネを出すから譲ってくれ』というメールがよくきます。フリマサービスを通さず、直接取引しようというのです。大金で買うと持ちかけられ、高級カメラをだまし取られた人が、カメラ仲間に何人かいます」
こうした悪質なトラブルに巻き込まれないよう、国民生活センターは消費者に、あくまで個人同士の取引であることを自覚して、フリマサービスの決済ルールや商品受取前に評価しないなどの規約を守ること、また購入者への商品の発送は追跡が可能な方法をとることなどをアドバイス。
その一方で、サービス提供者には安心して利用できる仕組みや、トラブルに巻き込まれた利用者のサポートの強化を要望している。