上司が部下を評価する時、部下が反論する権利も認める
荻島浩司さん「この10年間、国内総生産(GDP)で中国は3倍、インドネシアは2倍、アメリカも4割増えましたが、日本は数%の低成長です。企業も働く人も変わらないといけない。経営者のマインドが大事です。リーダーは部下の一人ひとりとミーティングを重ね、その人の仕事のやりがいや方向、成果をしっかりつかむことです」
八代さん「企業が変わるには、従業員を評価する人が変わらないとダメです。まず個人の仕事内容を明確にして、人事評価をしっかりやる。上司が部下を評価するが、部下が反論する権利も認める。それらのやりとりを、さらに上の上司が評価するのです。すると、中間管理職の仕事ぶりもよくわかります」
竹中さん「中間管理職の仕事はただ一つ、評価することだといいますね。さて、最後にこれだけは言いたい、というものはありますか」
南場さん「個人に対しては、『どうか転職してみてください』とぜひ言いたい。盤石に見える企業のブランドなんて、5年後にはどう変わるかわかりません。仕事ができる人は、まだ手遅れになっていないうちに転職しましょう」
八代さん「日本の長期雇用と年功序列は崩れようとしています。米国では優秀な人ほどベンチャーを起こしますが、日本では大企業の社員になりたがる。チャレンジ精神を持って、自分の選択肢を広げてほしいです。
また現在、政府が『働き方改革』の音頭をとっていますが、本来は企業がやっていくべきことです。政府が進める『同一労働同一賃金』も、本来、企業が進めていかなくていけません。働き方の枠組みを抜本的に変えて、『同一労働同一賃金』に取り組む企業が増えていけば、日本は変わっていきます」
【連載】「働き方」「働かせ方」を考える
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フォーラム参加者 プロフィール
●竹中平蔵(東洋大学教授・慶應大学名誉教授)
日本開発銀行を経てハーバード大学客員准教授、経済財政政策担当大臣、金融担当大臣、総務大臣、郵政民営化担当大臣等を歴任、未来投資会議メンバー。
●八代尚宏(昭和女子大学特命教授)
旧経済企画庁を経て上智大学教授、日本経済研究センター理事長などを歴任。専門は労働経済学。主な著書に『シルバー民主主義』『働き方改革の経済学』。
●南場智子(DeNA(ディー・エヌ・エー)社長)
津田塾大学卒、ハーバード大学経営学修士、DeNA創業者、プロ野球 横浜DeNAベイスターズオーナー。
●荻島浩司(チームスピリット社長)
1996年同社創業。2011年働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」を企画・開発してSaaS(クラウド上のソフトウェアサービス)ビジネスに参入。