【震災7年 明日への一歩】あれから84か月 企業倒産は全国で1857件に

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   「福島はまだ道半ば、です」――。福島県の、ある金融機関の幹部はJ‐CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に対し、復興への道のりをそう話す。地震による津波の被害と、東京電力福島第一原子力発電所の事故があった浜通りから離れた、福島市や郡山市のある中通りや会津地方にまで、原発事故による風評被害がいまだに及んでいるからだ。

   「どの企業も頑張っているし、1年また1年と活気は戻ってきています。それでもねぇ......」と、言葉が続かない。

  • 震災7年、にぎわい戻ってくる……(写真は、福島県三春町の滝桜)
    震災7年、にぎわい戻ってくる……(写真は、福島県三春町の滝桜)
  • 震災7年、にぎわい戻ってくる……(写真は、福島県三春町の滝桜)

「戻りたくない」「戻れない」人がいる

   2018年3月11日。東日本大震災から丸7年を迎え、震災の影響は徐々に薄れている。この2、3年、福島県相双地域(浜通り)の復興も、ようやく活気づいてきた。福島県の地方銀行、東邦銀行のとうほう地域総合研究所がまとめた「相双地域(浜通り)経済の現状について」(2018年2月報告)によると、相双地域の工場立地件数は、震災直後の2011年と2012年は震災前の10年から半減したものの、13年以降は増勢基調に転じ、2015年は震災前の3.5倍ほどの水準に達した。福島県全体の水準を大きく上回っている。

   災害復旧事業が下支えとなっている公共投資や補助金による企業誘致、復興公営住宅などの住宅投資など、「官主導」による政策効果が期待できる分野では堅調な動きがみられる。

   ただ、一方で「定住人口が震災前から40%以上下回っていることが、相双地域経済における最大の問題点」と指摘するように、生産年齢人口の減少が深刻化。復興特需の恩恵を受ける建設業などの業種で、深刻な労働力不足による事業の遅れが懸念されている。加えて、観光施設の閉鎖や放射能に対する恐怖感などもあり、観光客入込数は震災前の水準を大きく下回る状況が続いている。

   前出の金融機関の幹部は、「原発事故の風評被害は深刻です。おそらく東京にいてはわからないほどだと思いますよ」と話す。4月中旬ごろには福島県内でも桜が見ごろ。福島市の信夫山公園や会津若松市の石部桜、郡山市の開成山公園などの名所がにぎわうが、「ゆっくり見ようという人が減ったようです」と、宿泊客が減少していると指摘する。

 「(原発事故などで)他県へ避難した人が『戻りたくない』『戻れない』っていうのだから、桜をゆっくり眺めようなんて。そんな気になるわけないか......」
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