答えられないわけないのに、謙譲語で丁寧なふり
国会で「答弁」にはならない「答弁」が出るのはこの日に限ったことではない。3月5日の参院予算委員会の裁量労働制に関する質疑でもそうだった。
裁量労働制をめぐっては厚生労働省が昨年(2017年)12月、これを乱用していた野村不動産を特別指導したと公表していた。ところが、その特別指導は裁量労働制を違法適用された同社の男性社員が過労で自殺し、労災を認定されたのが端緒だった。だが、同省はこれまでそれには触れていなかった。
そこで、参院予算委員会で野党側が加藤勝信厚労相に調査のきっかけについて質すと、同氏は「コメントを差し控えさせていただきたい」と述べた。
答えられないわけがないのに、謙譲語を使って丁寧なふりをし、答えを拒否する。国民を愚弄(ぐろう)しているとしか、言えないのではないか。