1989年1月8日、昭和天皇の崩御で元号が「平成」に変わってから約30年。社名に「平成」を冠した企業は、全国で1270社あることがわかった。東京商工リサーチが2018年3月7日に発表した。
そのうちの51.4%(653社)は平成元年(1989年)から9年(97年)までの設立で、「平成」の幕開け直後に集中していたこともわかった。
平成「1ケタ代」設立が過半数、心機一転で社名変更も
東京商工リサーチによると、明治以降の元号を社名に冠する企業は5109社で、このうち「平成」は1270社(構成比24.8%)だった。64年間続いた「昭和」の半数(2640社、同48.1%)ほどだが、平成と昭和の年数の長さをみると、ほぼ比例している。
また、「大正」を冠する企業は435社(構成比8.5%)、「明治」は764社(14.9%)だった。近代産業の黎明期は、会社設立登記の手続きを経ずに個人で創業したケースも多く、相対的に企業数は少なかったとみられる。
1270社の「平成」を冠する企業を、設立年別にみると、平成1ケタ年代(元年~9年)の設立が653社(構成比51.4%)と半数を占めた。昭和から平成に元号が変わり、新たな元号に対する高い関心がうかがえる。
以下、平成10~19年の設立が216社(17.0%)、平成20年以降の設立が160社(12.6%)と、時間の経過につれて設立が減っていることがわかる。
会社設立が昭和以前で「平成」を冠した企業は、143社(11.2%)あった。これは元号が「平成」に変わり、社名を「平成」を冠したものに変えたケースで、新たな時代の幕開けの流れに乗り、心機一転して社名変更した企業もあった。
地区別でみると、最多は関東の433社(構成比34.0%)。次いで、近畿の212社(16.6%)、中部の166社(13.0%)と続く。県別では、トップが東京都の139社(10.9%)。次いで、大阪府の104社(8.1%)、埼玉県の63社(4.9%)、福岡県の61社(4.8%)と続いた。最少は、鳥取県の5社(0.3%)だった。
売上高トップの「平成観光」って......
「平成」を冠する企業を産業別でみると、最多はサービス業の372社(構成比29.2%)。次いで、建設業が334社(26.3%)で、この2つの産業で全体の半数以上を占めた。不動産業192社(15.1%)、製造業99社(7.8%)、運輸業が75社(5.9%)と続く。
業種別で最も多かったのは、総合工事業の156社(構成比12.2%)。次いで、不動産取引業の141社(11.1%)で、全体的に建設関連が上位を占めた。その一方で、病院や歯科診療所など(65社、5.1%)や福祉施設や介護事業など(41社、3.2%)、また「平成」に入って開校した大学や幼稚園、専門学校などが目立つ、学校教育(16社、1.2%)など、地方の基幹産業や少子高齢化といった時代のキーワードになる企業が上位だった。
さらに、「平成」を冠する企業の売上高トップは、岐阜県で最大手のパチンコチェーン「平成観光」(岐阜県多治見市)の1163億円。同社は元号が「平成」に変わった元年(1989年)1月8日の翌9日に設立されたという。
2位は、北関東でパチンコ店を展開する「平成興業」(茨城県ひたちなか市)の532億円。3位は心臓カテーテル治療では国内トップレベルの治療実績を誇る小倉記念病院が運営する一般財団法人「平成紫川会」(北九州市小倉北区)の256億円。4位は「帝京平成大学」(東京都豊島区)の165億円。5位は住宅建築・リフォーム、不動産分譲を手がける「平成建設」(静岡県沼津市)の141億円と続いた。ちなみに、全国に「平成建設」は49社ある。