偽ブランド品など、知的財産の侵害物品の輸入差し止め件数が増加している。
財務省が2018年3月2日に発表した「2017年の税関における知的財産侵害物品の差止状況」によると、輸入差し止め件数は前年比17.6%増の3万627件だった。
14年(3万2060件)以来、3年ぶりに3万件を超え、過去2番目の高水準となった。正規品の価格に換算した輸入差し止め価額は、推計で約113億円にのぼる。イヤホンなどの意匠権侵害物品の差し止め点数が増えている。
差し止め件数、点数ともに中国からが最多
差し止め件数の内訳をみると、偽ブランド品などの商標権の侵害が16年と比べて17.3%増の3万111件で、引き続き全体の大半を占め、次いでイヤホンなどの意匠権の侵害で304件だったが、前年比249.4%増と急増した。
差し止め点数(段ボール1箱に複数の偽物が入っていることがあるため、差し止め件数と点数は一致しない)でも、商標権の侵害が前年比23.4%減の31万3314点で、引き続き大半を占める傾向は変わらないものの、意匠権の侵害が13万5135点と、前年の約16倍と大きく増えた。
意匠権の侵害について、具体的にはイヤホンなどの電気製品が11万6999点と前年と比べて約6倍増えた。次いで、スマートフォンケースなどの携帯電話やその付属品が6万5085点(13.0%減)、プリンタ用インクカートリッジなどのコンピュータ製品が4万1944点(78.5%減)、衣類が4万671点(13.8%増)だった。
意匠権の侵害物品の差し止め点数が増えた理由について、財務省はJ‐CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に、「イヤホンの貨物量が多い傾向にあり、意匠権の権利者から『意匠権を侵害している物品がある』との申告が多かったため」としている。
また、国別に輸入差し止め件数をみると、中国を仕出しとするものが16年と比べて18.1%増の2万8250件で、8年連続で9割を超える構成比を占めた。次いで、香港が15.5%増の828件、フィリピンが59.3%増の430件、韓国が24.6%減の322件。
差し止め点数では、中国が41万4946点(前年比11.0%増)。次いで、香港が5万5023点(65.5%減)、韓国が9367点(82.5%減)、マレーシアが5718点(6048.4%増)だった。
件数、点数ともに、中国が最多だった。