現場力はあるけど、会議ではからっきし「いいこと発言」が言えない人がいます。
いいこと発言とは? 納得する、感銘することで周囲の意見がまとまる状態にすること。テレビ番組でもいいこと言うコメンテーターいますよね。「それって●●ということですよね」と発言したときに、視聴者も周囲のゲストも大きく頷きたくなる状態にすることです。
「いいこと発言」でも、実務はからっきしな社員
それって、たいしたことだと思いますが、否定的な意見の人も相当にいます。 「会議でいいこと言うかもしれないけど、実務はからっきしダメ。そんな奴を認めたくない」
そう言い切るのは専門商社のベテラン社員Sさん。会議で「君はどう思うかい?」と上司に意見を求められると「...自分は口ベタでうまく説明ができません」と黙ってしまう。
そんなSさんは、営業現場や後輩社員には饒舌。この落差に周囲は困惑するくらい。Sさんは会議でのいいこと発言なんて言えても無意味。それにも関わらず、会社はそれを高く評価するなんておかしい。理不尽と感じているようです。
たしかに営業成績はまずまずなので出世は遅れがち。そんなSさんに対して、
「会社があなたをみる目がないだけ」と慰めるべきか
「やはり、会議でのいいこと発言をすべき」と指摘すべきか
筆者は、「指摘すべき」と思います。
さらに言えば、会議でのいいこと発言が如何に重要か?その重要さはさらに高まっていくことでしょう。
というのも、結局のところ、人が実際に仕事をしている場面を(すぐ横で)観察することは、あまりありません。最近は人事評価で「行動の見える化」をすすめる会社が増えてきましたが、会議で「いいことが言えるか否か」は出世に対して変わらず大きな影響をもっています。
それは、いいことを言えないとリーダーシップが弱いと思われがちだから。自分一人では仕事はできるかもしれないが、周囲を巻き込む力が弱い。だから会議でいいことが言えない。よって、組織やチームを任せることが大丈夫なのか? と思われてしまうのです。
さらに仕事ぶりの一部は観察できるかもしれませんが、すべてを見られるわけではありません。そこで、人の評価(仕事上で)は会議における言動でその片鱗から見ようとする傾向があります。
会議は、個人の気持ちや意見を発するとても重要な場
会議は、個人の気持ちや意見を発するとても重要な場です。そこでの発言や立ち居振る舞いは、そのままその人の評価につながっていきがちです。
ちなみに会議で討議、さらに紛糾した場面でいいこと発言をしたいもの。たとえば、「A案とB案で意見が割れていますが、どうしましょうか?」と会議の事務局も当惑。討議していてが紛糾してしまったとき。そうなると、誰かが方向性を示さなくてはなりません。
ここで重要なのは玉虫色な発言ではないということ。たとえば「反対意見も結構あるけど、会社としてはA案をやったほうがいいということなので、A案の方向に行きつつ、反対意見もまとめるのでどうですか」などといった「A案が7割、B案が3割」という解決策を示すことは越権行為と思ってください。
これは会議を仕切る議長の役目。そうではなくて、
・自分の意見
・これまでの討議
を踏まえて「A案でいくべき」と全体の意見を1つにまとめるべく発言をするのです。全体最適を考えて、周囲が納得する方向を示すこと。これこそがいいこと発言。紛糾した討議をとりまとめることになり、それが高いリーダーシップの片鱗を示したことになり、周囲から高い評価を得ることになります。
冒頭に登場したSさんがこれに取り組めば、出世の遅れなどすぐに取り返せるはずです。(高城幸司)