名札センサーから職場の雰囲気、人間関係、活性度までわかる
こうした「見える化」改革の中でも特徴的なものが、同社が開発した「名札型ウェアラブルセンサー」(写真2参照)だ。首からぶら下げる名札に、加速度センサーと赤外線センサーが埋め込まれている。
加速度センサーでは、歩いていたりPCをタイピングしていたりする時などの小さな身体の揺れを計測。さらにチームの身体の揺れを集約し、統計的な分布の特徴に注目することでチームのイキイキしている度合い(組織活性度)がわかる。赤外線センサーでは、誰と誰が会っているかなど、対面コミュニケーションの様子を計測する。
坂内さんは、こう説明した。
「この2つのセンサーの分析から、まず組織の連携度合いがわかります。従業員が職場の中でどう動いているかを示す『従業員のネットワーク図』(写真3参照)を見ると、誰と誰が会っているかがわかり、その部署の中でコミュニケーションの多さどうかは、線の太さで表示されるので一目瞭然です」
他の部署とどのくらい連絡を取り合っているかなど、組織のネットワークの意外な関係も発見できるという。
「『従業員の一日の時間の使い方のグラフ』(写真4参照)からは、作業時間や会議時間など勤務の細かい実態がわかり、ムダな仕事や会議を減らすことにつながります。またコミュニケーションの中身から、会話が一方通行のピッチャー型かキャッチャー型か、双方向のキャッチボール型かがわかります。おもしろいのは、こうしたデータから職場の雰囲気や人間関係、組織活性度までわかることです」
それは、いったいどういうことか――。
「組織の元気さは日によって変動します。その理由は本人たちにもわからないことが多いのですが、組織活性度で計測し、それが高い日の行動パターンをAIで見つけ出すことで、このチームは『課長と担当者が双方向の会話をしている日に元気になる』といった傾向を見つけ出すことができるのです」