大丈夫なのか!? 急激に変貌した米株式市場 いやいや「まっとうな状態です」(小田切尚登)

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過度な調整で過熱感が冷えた

   では、今後の株式相場はどう見るべきなのか――。私は基本的には楽観的に考えている。その最大の理由は、経済のファンダメンタルズが引き続きいいこと。米国企業の収益は今後も良好とみられ、それがトランプ減税によりさらに上向くことが期待される。

   株式の買戻しや配当利回りも増える傾向にある。企業業績がよい限りは、株価が大きく下がることは考えにくい。むしろ、経済の過熱そしてインフレというリスクを心配すべきところだが、そのインフレ率は今のところ低いレベルにとどまっている。

   その他のリスクもまずまず小さく抑えられている。たとえば、2007年時はサブプライムローンが巨大な金額になり、それが金融不安を生んだが、今回はそういったレベルの金融危機が起きる兆候は見られない。

   仮想通貨の問題などは、金融システム全体を揺るがすような甚大なものではない。また、地政学的には北朝鮮問題などがあるが、それが相場を直撃する可能性は非常に低いであろう。

   つまり、適度な調整によって株式相場の過熱感が冷え、「よりまっとうな状態になった」というのが今の相場であるとみている。それまでにできたバブルが適度にしぼんだ状態と言ってよいのではないか。

   金利上昇はネガティブな要素であるが、それほど大きな上昇はないとみている。

   今後は、これまでのような一本調子の上昇というのは望みにくいが、逆に言えばリスクを踏まえた正常な動きをしていくと考えてよいのではないか。

   米国株は、まだまだ元気だ。(小田切尚登)

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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