大学発ベンチャー企業(VB)の10社に1社が、東京大学が創出した企業だったことがわかった。帝国データバンクが「大学発ベンチャー企業の経営実態調査を、2018年2月23日に発表した。
大学発VBは1002社(18年2月時点)となり、13年の調査開始以降で初めて1000社を突破した。このうち、東京大学発のVBは108社で最多だった。
最多はロボットやAU、ソフトウェア開発
大学発VBが増加する背景には、2016年春に出された「産業界から大学などへの投資を3倍に」という官民合意の目標のもと、17年は大学発VBに投資、支援するベンチャーキャピタルや投資ファンドの設立や、企業でも技術開発や事業化への後押しを目的に共同開発や業務提携などが相次いだことがある。
17年8月には、文部科学省が国立大学の大学発VBの株式の長期保有を認める通知を発表。これにより大学側も、大学発VBを新たな収入源として期待。本格的に注力する大学が増えるなどの動きが活発化している。
大学VBを業種別にみると、最も多かったのはロボットや人工知能(AI)、ソフトウェアの開発や、医療・ヘルスケアなどの分野を含む「サービス業」で508社だった。全体の50.7%を占めた。次いで「製造業」が319 社、「卸売業」が132 社と続き、上位 3 業種で全体の 9 割以上を占めた。
大学発VBの2016年(1月期~12 月期決算)の売上高は、合計で前年比14.2%増の2327億1900万円となり、過去10年で最高となった。また、リーマン・ショック直後の2009年(1181億9600万円)を除く9年間で前年実績を上回る状況が続いているほか、16年の売上高合計は07年(1053億1200万円)から2倍を超える規模となっている。
また、設立後初めて黒字化するまでに要した年数は、平均で5.1年だった。