「わたしには関係ない!」――。「確定申告」というと、ふつうのサラリーマンはそう言う。税務署へ出向き、ああでもないこうでもないと急かされながら手続きを踏み、場合によっては払い過ぎた税金を戻して(還付)もらう。3月15日の申告期限が近づくほど税務署は混みあって、長い待ち時間がますます長くなる。あ~、面倒くさい!
しかし、じつはサラリーマンでもきちんと確定申告したほうがオトクな場合があるという。どんなケース、どんな人がその対象になるのか?
J‐CASTのマスコット「カス丸」が税理士の平井隆先生に聞いた。
サラリーマンで確定申告しないといけない人、したほうがいい人?
はーい、ぼくカス丸きゃすう。そろそろ、会社ウォッチでもなじんでもらえたかな。今回は「サラリーマンのための確定申告」について、税理士の平井隆先生に聞いたじぇい。じゃあ、さっそく......
まずは確定申告が、どのようなものなのかを教えてほしいじぇい。
確定申告の前に、日本にはさまざまな税金の種類があります。そして税金にも自分で納税する税金を計算して納税するものと、国や県、市区町村から納税額を通知されて納税するものがあります。
自分で納税する税金を計算して納税するものについては、納税する際に収入額や納税する金額などを税務署や県、市区町村に申告する必要があります。この手続きを「確定申告」と言います。
確定申告というと、一般的に所得税の確定申告をイメージする人が多いと思いますが、会社であれば法人税の確定申告が必要になりますし、財産をもらった場合には贈与税の確定申告が必要になります。その他にも確定申告が必要な税金はあります。
確定申告では納税する金額を計算するだけではなく、払い過ぎている税金がある場合には戻してもらう手続きも含まれます。
税金が戻ってくる場合があるから、オトクなわけきゃすね。じゃあ、サラリーマンで確定申告をしなければいけない人って、いるんきゃすか?
通常、サラリーマンの方は会社からもらう給与だけが収入になります。所得税の制度では、給与について「源泉徴収」という制度が定められていて、会社がその人の給与から所得税を天引きしたうえで、給与を支払っています。つまり、会社がその人の所得税を税務署に納めているわけです。
また、サラリーマンの方には「年末調整」という制度があります。年末調整とは、1年間の給与収入の金額が確定する12月に給与収入に対して本来納めるべき所得税額を計算し、1年間で源泉徴収された金額との差額を精算する手続きです。給与収入だけの方は年末調整だけで税金の計算、納税が完結しますので確定申告は必要ありません。
しかし、給与以外の収入がある方、たとえば不動産を貸して家賃収入などがある人や株式を売買している人、不動産の売却をした人などはこの年末調整の手続きだけでは1年間で納めるべき所得税額が足りないため、確定申告が必要になります。