実績アップは地道な努力の積み重ね
企業においても、実績の上がらない担当者指導に関して有効なのは、スキル力アップの名のもとにあれこれ細かいテクニックを伝授することではなく、有効なデータを使った論理的かつ地道な努力の積み重ねだったりします。
私が独立して間もない頃、とある企業の現場営業のコンサルティングを一緒に担当したH氏との仕事は、まさにこれに近いことを学ばせてもらったケースでした。
多数の契約社員を営業部隊として抱え、飛び込み営業を中心として業績を積み上げてきたサービス業K社の社員定着率の向上に向けた評価制度の改訂を手がけていた際に、同社のO社長から確実に実績の上がる営業指導ができる、飛び込み営業の指導者経験のあるコンサルタントはいないだろうか、と相談を受けたのでした。
同社では過去に、営業コンサルティングを監査法人系のコンサルティング会社に頼んだところ、会計士を中心としたコンサルタントたちが机上論に根ざした営業活動の効率化をメインに据えた、もっともらしい施策を繰り返すばかりで、実績は一向に上がらなかったのだと。
そこで、「机上論ではない実体験に基づく指導をしてもらいたい」ということになったのです。
私は、直前に他社で一緒に営業チームの実績改善を手がけたH氏に声をかけました。H氏は、自身も若い頃飛び込み営業ばかり、全国数百人の営業マンを抱える大手企業で数年間にわたり連続トップの成績をあげ、そのやり方を営業マン指導に活かすことで、30代で役員に大抜擢された元スーパー営業マンです。
彼のやり方の特徴は、一般的に獲得実績以外はほとんどデータ管理しない営業指導を、徹底してデータ化して世の優秀な営業マンの平均値と比較・改善させるやり方でした。