日本代表のメダルラッシュが続く平昌冬季オリンピック大会。冬季大会と言うと、我々50半ばすぎの世代には1970年札幌大会のスキージャンプ70メートル級での、表彰台独占の快挙が思い浮かぶのですが、夏季大会に比べると日本のメダル獲得が非常に難しい競技が多い印象です。
今大会で特に注目に値するのは、女子スピード・スケートです。2018年2月20日時点で、すでに金メダル1個を含む、メダル4個を獲得しています。前回ソチ大会で同競技の獲得メダルがゼロだったことを考えれば、飛躍的な発展であると言っていいと思います。
「変身した」リベンジ選手活躍の舞台裏
注目されたスピード・スケートですが、特筆すべきは前大会以降、新たな選手が登場して活躍したわけではなく、今回の4個のメダルは前々回のバンクーバー大会(2010年)からのリベンジに賭けた2選手が獲得したものだったことです。
すなわち、日本の女子スピード・スケートチームは、個々の選手の改善によって実力が向上し、世界のトップクラスと互角に戦えるレベルになったのです。では、前回大会までと今回大会で、いったい何が変わったのでしょうか。
新聞などの報道によれば、ソチ大会をメダルゼロに終わった日本は、海外からコーチを招へいすることにし、そのコーチの下で従来の練習パターンをゼロから塗り替えるようなやり方に変えたのだと言います。
招へいされたのは、ヨハン・デビッド氏。オランダ人コーチです。オランダは知る人ぞ知るスケート王国。近年のオリンピックの女子スピード・スケート競技では、毎回半数以上の金メダルを獲得するという、誰もが認める絶対王者なのです。
デビッド氏は、日本チームの練習を根本からつくり変えたそうです。それまで日本チームのやってきたことは、とにかく細かい技術力を磨くこと一辺倒。デビッド氏はこの指導方法を改め、経験に裏打ちされた成績改善に有効なデータを元に目標を明確にして、一つひとつ、それをクリアしていくことで着実な成長を促すやり方に変えたのです。
デビッド氏の目には、データに依らず雰囲気で目先の細かい改善点にばかり気を奪われてしまうことが、日本人特有の悪い癖に映ったのでしょう。