【新連載】オバマ氏、画家との「交渉」に失敗!? 笑いを誘ったシンプル英語(井津川倫子)

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感動のインスタメッセージ! 貧困層から大統領夫人に

   オバマ氏とミシェル夫人はこの日、インスタグラムでもそれぞれのアカウントで肖像画とメッセージを紹介。翌13日までに寄せられた「いいね!」の数は、オバマ氏が約140万件、ミシェル夫人が約160万件とミシェル夫人に軍配が上がっています。

   ミシェル夫人のインスタグラムメッセージは、若い世代、とりわけ有色人種の少女たちに向けた含蓄のある内容で、私は思わず胸が熱くなりました。アフリカ系アメリカ人の彼女が歩んで来たであろう苦難の道が容易に想像できたからです。

   Nobody in my family has ever had a portrait. This is a little bit overwhelming, when I think about the young people who will visit the National Portrait Gallery and see this, including young girls of color who don't often see their images displayed in beautiful and iconic ways. I am so proud to help make that kind of history.
(私の家系に、肖像画を描いてもらった人なんて一人もいなかった。そんな私が、この美術館を訪れる若い人たち、とりわけめったに美しく象徴的に描かれることのない有色人種の少女たちがこの絵を見ることを思い浮かべると、熱い想いがこみ上げてくる。そして、こうした歴史を刻むことができたことを誇りに思う)

   先祖が奴隷で、日々の生活費の支払いに困るような労働者層に囲まれて育ったミシェル夫人。周りに大学に進学する人がほとんどいないなか、「貧しい家庭の女の子は大きな夢を持ってはいけない」と育てられたといいます。血のにじむような努力で名門プリンストン大学とハーバードロースクールを卒業した時には、多額の借金(奨学金)を抱えていました。

   同じくアフリカ系アメリカ人で、苦学して人生を切り開いてきたオバマ氏も、40代まで奨学金の返済に追われていたというから驚きです。

   そんな二人が、貧困や差別、偏見をはねのけて大統領とファーストレディーになったことに、アメリカという大国の底力を感じます。今回、自分たちと同じような境遇の黒人アーティストに肖像画を描くという栄誉を与えることで、後世にまでメッセージを残したかったのでしょう。

   ミシェル夫人だけでなく、オバマ氏もインスタグラムでこうつぶやきました。

   この美術館を訪れた世界中の若者が、黒人アーティストが描いた黒人大統領夫妻の肖像画を見て、「世の中を変えようと行動に移すことを願う」と。

   さて、〈今週のニュースな英語〉をビジネスの場面で応用してみましょう。

   今回は、「negotiate」(交渉する)という単語と、比較級(less gray hairやsmaller ears)を組み合わせる表現です。

   「negotiate」はビジネスの頻出単語ですが、比較級を後ろにもってくるだけでいろんな場面で使えます。

I negotiate more discount.(もっと安くしてくれと交渉する)
I negotiate bigger bonus. (ボーナスを上げてくれと交渉する)
I negotiate higher position.(もっと高い地位につけてくれと交渉する)

   「交渉」と考えると堅苦しい英語を想像しますが、こんなシンプルな方法で意志は伝わるのですね。オバマ氏に、シンプル英語の極意を教わった気がしました。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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