味の素が「16時半退社」に成功したワケ? 勤務時間を短縮して起こったこととは......

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   社員の退社時刻が16時30分という驚きの「働き方改革」を進めている、食品大手の味の素。2018年2月7日、東京・世田谷の昭和女子大学で開かれた「働き方改革フォーラム 味の素に聞きたい 『なぜ16時半退社になったのですか?』」で、改革を進めている味の素の高倉千春・グローバル人事部次長に、ジャーナリストの白河桃子さんと昭和女子大学の坂東眞理子理事長が迫った。

   「なぜ『16時半退社』に成功したのか? 高倉千春・グローバル人事部次長が語る『味の素』流・働き方改革」(2018年2月12日付 「企業探究」)の第2弾。働き方改革の「成功のヒント」がここにある。

  • 高倉千春さん
    高倉千春さん
  • 高倉千春さん

「ミスを恐れるな、6割よければGO! という精神」

   坂東眞理子さん「率直に聞きます。日本企業には『滅私奉公』『24時間働け』『チームプレーを乱すな』という風潮が強いです。そんな中で、味の素が16時半退社を成功させた。早く退社するのは相当なプレッシャーだと思いますが、味の素にはチームプレー精神はないのですか?」

   高倉千春さん「あります(笑)。社員全員が仲のよい会社ですから。確かに日本企業の強さはチームプレーです。『ITで世界を席巻するインドのリーダーと日本のリーダーが組めば世界最強になれる』とよく言われますね。
しかし、日本式の働き方では、世界の人材を獲得することが難しくなっています。たとえば、当社の本社では16時半に強制消灯となっていますが、米国支社では『なぜ、一斉なのか。私は好きな時間に退社したい』と、むしろ一斉に同じことをするのを嫌います。それぞれの国民の多様性を認めないと、グローバル企業はやっていけない時代です」

   白河桃子さん「会社の中で抵抗はなかったのですか」

   高倉さん「ありました。特に営業部門では『得意先が働いているのに先に帰るわけにはいかない』と強く反対しました。社長の西井(孝明)が主要得意先を訪問する際に、その主旨を説明して回っています」

   白河さん「顧客をどれだけ巻き込むことができるか、トップの本気度が改革には重要ですね」

   坂東さん「消費者主権主義というか、『おもてなし精神』というか、サービス業では顧客の無理難題に対応するためにも待機しなければならない風潮が強いです。それをどう変えたのですか」

   高倉さん「(ミスを防ぐことを考えるより)6割よければGO! という精神です。外資系企業では、スピードを重視しています。『先頭を走った者だけがなにかあれば引き返すことができる』という考えですね。日本企業は脇が硬すぎるため、みんなが疲弊します。西井は、たとえば会議の書類でも『簡単でいい』とルール化しました」

   坂東さん「念のために備えると、あちこちで労働時間が長くなる。それをなくしたわけですね」

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