日本の社長の高齢化が止まらない。東京商工リサーチが2018年2月13日に発表した調査によると、2017年の全国社長の平均年齢は前年より0.26歳延びて61.5歳となり、調査を開始した2009年以降で最高年齢の記録を更新した。
団塊世代(1947~1949年生まれ、約68~71歳)の社長交代が進まないことが主な理由という。また、その会社の減収や赤字などの経営状況と社長の年齢を比較すると、業績悪化が社長の高齢化と一定の関係があることもわかった。「社長の老害」が会社の活力減退に拍車をかけていると指摘している。
社長が若いほど「増収」、高齢なほど「減収」「赤字」が多い
東京商工リサーチによると、2017年の社長の年齢分布では、一番多いのが「60代」の32%、次いで「70代以上」が26%で、合計の58%は調査開始以降で最も高かった。30代以下の若手経営者は3%しかおらず、過去最低だった。
社長の年齢と業績の関係をみると、70代以上が社長を務める会社では「減収」「赤字」の割合が47%(30代以下は37%、40代は42%)と最も多く、特に資金繰りに黄・赤信号が灯る「連続赤字率」が11%に達した。
一方、「増収」の割合をみると、30代以下の社長が務める会社が一番多く57%、次に40代の51%(70代以上は最低の40%)と、社長が若いほど業績がよくなり、高齢化するほど悪くなる傾向がはっきり示された。
その理由について、東京商工リサーチは「高齢の経営者は、過去の成功体験へのこだわりが強く、時代に即した経営方針を打ち出せない人が多いとみられる。また、後継者がいない場合は生産性向上につながる投資に消極的になるため、さらに業績悪化につながる」と、厳しく指摘する。
都道府県別では、社長の高年齢トップは高知県の63.5歳。次いで秋田県の63.4歳、岩手県の63.2歳の順だった。
年齢上位の県は、総務省統計局の人口推計(2016年10月現在)の「都道府県別人口増減率」の減少率上位の県とほぼ同じだった。人口減少が新規開業の低迷や事業継承の難しさを反映しているという。
一方、平均年齢が低かったのは大阪府の60.2歳、滋賀県の60.3歳、沖縄県の60.3歳の順。商都・大阪は毎年「社長の若さベスト3」の常連で、2016年には全国で唯一「50歳代の若さ」を誇ったが、ついに60歳代の「大台」に乗った。