「常に社員から意見をもらい、振り返る」
味の素が「早帰り」に成功しているヒミツを、高倉さんはこう明かした。
「当社では各セクションや、社員一人ひとりが何時間残業を減らし、かつ自律的な働き方ができ、仕事の成果があげられているか、を評価の対象にもしています。そこで重要なのが現場の管理職の能力です。管理職は部下一人ひとりと話し合い、この人が全力投球すると成果を発揮できる仕事内容を見極める必要があります。また、仕事の優先順序を決め、ムダを省く指導をしなくてはなりません。部下の成果にまでコミットしますから、『上司力』が問われるわけです」
ちなみに評価手法は、上司や部下・同僚、仕事上で関連する他部署の人などが、その人物を評価する「360度評価」。味の素では西井社長をはじめ役員全員が「360度評価」の対象になっている。西井社長は、ランダムに選んだ300人の部下に1ページほどビッシリ評価を書いてもらい、読んでいる。
高倉さんは、こう続けた。
「『リーダーは完璧ではない。常に社員から意見をもらい、振り返らないと』が西井の考えです」