「なぜ『16時半退社』に成功したのか?」高倉千春・グローバル人事部次長が語る「味の素」流・働き方改革

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   社員の退社時刻が16時30分という驚きの「働き方改革」を進めている味の素。それで会社は回るの? 勤務時間を減らして成果をあげられるのか?

   こんな疑問に、同社のグローバル人事部次長の高倉千春さんが答えた。

   2018年2月7日、東京・世田谷の昭和女子大学での「働き方改革フォーラム 味の素に聞きたい『なぜ16時半退社になったのですか?』」で語った。

  • 味の素の本社ビル(東京・京橋)
    味の素の本社ビル(東京・京橋)
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朝の出社時間を早め、社員食堂で無料モーニングサービス

   味の素は、2017年度から始業時刻を8時45分から8時15分に、退社時刻を17時20分から16時30分に早めた。同時に、本社ビルが19時には全館強制消灯されるようになった。

   泣いてもわめいても19時以降は残業できない。また、「ノー残業デー」の毎週水曜日は17時に強制消灯される。

   「だから、水曜日は16時半ごろからエレベーターがラッシュになり、入るのにひと苦労します。社員全員の仲がいいので、1階の受付前に集合して、どこに飲みにいこうか、ワイワイ話し合う光景がみられます」と、高倉千春さんは笑う。

高倉千春・味の素グローバル人事部次長
高倉千春・味の素グローバル人事部次長

   女性社員を活用するうえでも、「早帰り」の効果は抜群。「働くママにとって、みんなが16時半退社だと、気兼ねすることなく保育園に迎えに行けることが大きい」と強調した。

   始業が8時15分になると、朝ごはんを食べずに出社する社員が少なくない。そこで社員食堂をリニューアルして、無料でバナナ、ベーカリー、味の素AGFのコーヒーなどの朝食セットを提供するようにした。

   「この朝食を食べながらのおしゃべりがいい感じの雰囲気を社内につくってくれます」

   各オフィスにはホワイトボードがあり、それぞれが今日の予定を書く。いきなり「本日の退社時刻」を書くのが「味の素流」だ。「16時半、17時に帰ると宣言している部下に何を頼むか、『上司力』が問われます」と、高倉さんは指摘する。

   そのため、テレワーク(在宅勤務)も認めた。スカイプ会議も始めたが、「自分の家の中が映るので、大掃除をしたりして、かえって面倒」(高倉さん)ということで、全国でサテライトオフィスを展開する会社と契約し、自宅以外でも働ける環境を整備した。

   ただ、テレワークは「残業の持ち帰りにつながる」という問題点がある。どうやって勤務時間を管理するのか、講演会場からも疑問の声が出たが、高倉さんは「IT技術を使えば、いつメールを開いたかなどが、私たちにわかります」と答えた。

   また、「会議をスリム化し、資料は紙を減らしてタブレット端末で読むようにした。また、立ったままの会議を増やした。高倉さんは、「各オフィスに立ち机も増やしました。立ったままだと、仕事がはかどります」と話す。

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