京都や大阪などの近畿エリアを中心に、国内の菓子メーカーが好調だ。2016年度(16年4月~17年3月期)に「増収」となった菓子メーカーは全体の半数を超える260社で、このうち近畿エリアは59社を占めた。
帝国データバンクが2018年2月9日に「国内菓子メーカー486社の経営実態調査」を発表。2016年度決算の売上高が判明した国内486社(年間売上高10億円以上)の菓子メーカーを抽出し、売り上げや損益状況などを分析した。
原材料や人件費の上昇で、赤字メーカーが2.5ポイント増加
帝国データバンクによると、国内の486社の菓子メーカーのうち、2015年度と16年度決算の年間売上高が判明した474 社を比べると、16年度に「増収」となったメーカーは260 社となり、増収メーカーの割合が半数以上(54.9%)を占めた。
ここ数年は訪日外国人観光客の増加に伴い、地方でもインバウンドの恩恵を受け、おみやげ菓子の販売が好調に推移している。増収メーカーのなかには、店舗販売に加えて、ネット通販のシェアが高まり、売り上げを伸ばしているメーカーもみられた。
一方、2015年度と16年度決算の損益状況をみると、16年度が「黒字」だったメーカーの割合は全体の83.0%を占めた。そのうち、「2期連続」の黒字は75.1%。年間売上高10億円以上のメーカーでは、多くが安定した経営基盤を有しており、黒字の割合が高かった。
「赤字メーカー」は 17.0%となっており、15年度と比べて2.5 ポイント増加。そのうち、「2 期連続」の赤字は6.7%となった。原材料の高騰や不採算店舗のスクラップアンドビルドで赤字を余儀なくされる事業者があったほか、人手不足による人件費の上昇や、結婚式向け贈答商品の減少が影響した。
また、大手向けのプライベートブランド(PB)商品案件を受注したものの、利幅が少ないうえに残業代負担などで製造原価が上昇、収益を圧迫するケースもあったとしている。
ちなみに、2月14日のバレンタインデーを前に、チョコレート商戦が本格化。この時季は1年で最もチョコレートが売れることから、菓子メーカーなどはバレンタインデーを商機に、売り上げの積み上げに注力している。