「バカ」「死ね」「辞めろ!」と怒鳴られたり、土下座を強いられたり...... 横暴な客の実態を取り上げた「接客業を悩ます悪質クレーム」前編・後編の記事(2018年1月25日、26日付)には、多くの反響が寄せられた。
「お客に違法行為があれば即スマホで110通報する」と毅然とした態度をとる店員もいれば、「財布の中身にまで口出しをする店員は叱りつける」と怒りが収まらないお客。ショッピングの世界に平穏は訪れないのか――。
高機能の監視カメラでお客の情報をチェック
J‐CAST会社ウォッチ編集部は、「悪質クレーマーについてアナタはどう思いますか?」と、7つの回答の中から読者の意見を聞いた。すると、2月1日正午時点で545票の回答があり、結果は次のとおりだった。
1位 店側は悪質クレームには警察に訴えるなど毅然とした態度をとるべきだ。40.9%(223票)
2位 ミスを注意するのはいい。怒鳴るのはよくない。クレームの付け方を考えた方がいい。 24.8%(135票)
3位 接客態度が悪い店員がいるのは事実。ガツンと叱ることも必要だ。 10.8%(59票)
4位 悪質クレーマーは店だけでなく、学校や地域でも迷惑をかける常連だ。9.2%(50票)
5位 大声で怒鳴る行為は他のお客も不愉快。多少のミスは我慢すべきだ。 8.6%(47票)
6位 悪質クレームが増えるのは、格差が広がり、社会がギスギスしているからだ。 3.9%(21票)
7位 お客なのだから、不快なことがあれば店に文句を言うのは当然。 1.8%(10票)
これを見ると、「接客態度の悪い店員はガツンと叱る」「不快なことがあれば店に文句を言うのは当然」とする人が約13%いるものの、「店側は警察に訴えるべき」が4割に達するなど、大半の人が悪質クレームに批判的で、店側に毅然とした対応を迫る意見が多かった。
記事に寄せられたコメントには接客業をしているという人からの実情報告がいくつかあった。
「『バカ・死ね・辞めろ』は恫喝です。その様な言葉を発せられた時は警察へ連絡させていただきます。あと謝らないこと。不快な思いをさせてしまったことはお詫びしますが、ちゃんとこちらも事実関係を理解して対応しないと。謝ってその場しのぎはダメ」
「長年お客様のクレーム受付係をしていました。残念ながら詳しく書けませんが、いくつか譲れない原則があり、そこは守ります。最近は、監視カメラの中には高機能タイプか増えており、さまざまな情報を表示できます。お客様のご意見は尊重しますが、限界もあります」
「あらゆるクレームの言動を刑法に照らして判断します。業務妨害、侮辱罪、暴行罪などの構成要件を満たしたら手持ちのスマホで110通報。必ず証拠保全と証人確保をします。前後の脈絡は一切考慮しません」
などと、毅然とした対応をとる場合がけっこう多いようだ。
電話オペレーターの対応に「打てば響く回答」を得られたことなし
一方、店側の接客態度にも問題があるとの指摘も少なくない。
「怒る客にも問題があるかもしれないが、接客に問題がある店員もいる。客の財布の中身(予算)に口出しする、ミスしても知らんふり、最悪なのは支払い済みなのにレジでお金を請求...... 『客は神様じゃない』と言って店員がやりたい放題でいいのか」
「記事ではクレームをつける側が一方的に悪く書かれているが、電話オペレーターの質の悪さは問題だ。尊敬語、謙譲語の違いがわからず、言葉遣いがなっていない。打てば響く回答が得られたためしがない。自分の守備範囲でないものは、『すみません』『わかりません』『聞いてまいります』。マニュアル通りなのだろうが、自分が責任をもって対処しようという気構えがない。こちらが叱りつけると、ダンマリ。中には、『は~、そうなんですか~』『どうなんですかね~』と面倒くさそうな口調の奴までいる!」
家族にクレーマーがいるという人からは、こんな「お詫び」の声も。
「身内の恥をさらすようだが、弟がクレーマーだ。学歴はないけど。いつもは家電量販店をひいきにしているのに、激安店でラジオを買い、『音が出ない』と怒っていた。激安店のスタッフは、家電量販店に比べ知識がないから、『こんなことも知らないの?』と優越感を味わいたくてやるんだよ。弟に当たった店の人は不運としか言いようがない」
接客にAIを使えば、「責任者呼べ!」にロボットが登場?
また、そもそも客と店の立場は対等であり、「お客のほうが上」と考える傾向が強い日本の消費者の意識を変えるべきだという意見もあった。
「客は神なんかじゃない。商品やサービスの対価として代金を支払う。だから、本来、店員が客に敬語を使う必要もないし、頭を下げることもおかしい。外国では無償でサービスをもらえるかい? 必ずチップなどの対価があるじゃないか。それを差し置いて、何から何まで店に要求するのは客とはいえない。礼儀のない客に、店が礼儀よく対応する理由はないね」
しかし、対等ではないのは大企業と下請けの中小企業の関係だ。中小企業にとって最悪のクレーマーは大企業だという指摘がいくつかあった。
「中小企業にとって世の中で最も横暴な客は、下請けに対する大企業正社員だ。自分のほうが身分は上と信じているから、価格や納期、納入個数など交渉の余地がない。『バカ・死ね・辞めろ』は交渉や外注管理の場では普通に言われており、対等な個人として話し合う気などまったくない」
ところで、ワンクリック投票では、「格差が広がり、社会がギスギスしている」という意見が約4%あったが、社会の変化からクレーマー問題を取り上げたこんな意見も――。
「『責任者を出せ!』『ハイ、かしこまりました』と、頑強な男を呼べば驚くだろうね。昔は盛り場には地回りのヤーさんがいて、ショバ代をとる代わりにもめ事からガードしてくれたのは事実。客も心得ていたから、ほどほどで退散した。良くも悪くも人との関わりがあった時代だ。今じゃ、接客にAIを使う時代に。『責任者を呼べ!』と言われてロボットが出てくるのかな。ついでに客もロボットだったりして」