このところ、洋服をまったく買っていない。
相次ぐ大雪や寒波で、春物ファッションに食指が動かないせいもあるが、店頭に並ぶ衣類を見ても、1ミリもほしいと思わないのだ。
真新しい洋服を季節ごとに入れ替える、楽しい! 気持ちイイ!!
前々回のコラム「新年早々、発見! 男の前で『カワイイ!』を連呼すると元気になるぞ」では、初売りで大はしゃぎした旨を恥ずかしながら吐露した。あのときは、百貨店のセールに押しかける女性客を見て、「物欲こそ若さを保つエネルギーかもしれない」な~んて書いたのであるが、ならば今の私は絶賛老化中! である。
思うに、「洋服が欲しい」という意欲は、ある程度満たされると自然に収まるものなんじゃなかろうか。
私は一昨年(2016年)、クローゼットの衣服を捨てに捨てた。年齢に合わないギャル服、流行遅れのブラウス、古びたスカートにバッグ、ベルトなどの小物類。8割がた捨て去って、タンスに隙間が空いたので、そこを新しい服で埋めていく。それはなんとも形容し難い快感であった。
真新しい洋服は、安物といえども気持ちがいい。ユニクロやGUなどの「プチプラ服」だって、流行遅れの虫に食われたバブルスーツよりはいいだろう。それに、最近のプチプラ服は質もいいので、ワンシーズンで着倒すのにはぴったりだ。
「安物買いの銭失い」という言葉もあるが、クローゼットを季節ごとに入れ替えるのは楽しい。
そうやって、今秋冬の衣類をどんどん買ってはタンスに詰め込んでいたら、ついに容量がいっぱいになってしまった。するとあら不思議、物欲が一切わかなくなったのである。自分でも驚きだった。
クローゼットに入りきらない洋服はいらない
私の部屋は狭い。ワンルームに仕事机とベッドを置いたら、もうほとんどいっぱいである。ウォークインクローゼットもないので、部屋を広く見せるにはとにかく整理整頓するしかない。タンスに入りきらない服が、床に散乱しているのはみっともないだろう(部屋も狭いしな......というのが本音だけど)そんな意識でいるうち、自然と「クローゼットに入りきらない洋服はいらない」と思うようになった。
はは~ん、よく断捨離や片付けの専門家が言っているのはこういうことか、と納得した。
一度モノを捨て去れば、部屋がキレイになり、新しいものの配置が決まる。捨てることで頭の中が、「この服はいるか、いらないか」を合理的に判断できるようになっているため、新しい服に対しても「いるか、いらないか」をスパッと判断できるのだ。
いやぁ、嬉しいなあ...... この体験で、整理整頓本の1冊や2冊も出せるんじゃないかと調子に乗っていたら、友人のAちゃんからLINEが。
「私が着なくなった服、よかったら引き取ってくれない? かやちゃんなら似合うと思う!」
Aちゃんは上質な服をたくさんもっており、センスがいい。そんな彼女のお古を、無料でもらえるとは!! 浅ましい私はすぐに、
「ありがとう! ぜひ送って!」
と返信した。
朝三暮四とはまさにこれ。情けなや、わが物欲の塊であることよ。(北条かや)