他分野の研究者がアドバイスし合う京大ならではの試み
ちなみに、著作者の権利は、人格的な利益を保護する著作者人格権と、財産的な利益を保護する著作権(財産権)の2つに分かれる。著作者人格権とは、自分の著作物が不本意な使われ方をしないように拒否したり、「このアイデアは○○氏のもの」と明記したりすることを求めるなど名誉に関するもので、一代限りだ。
「ということは、もし研究がビジネスとして成功しても、企業側は一定の割合でマージン(著作権料)などを支払わなくてもいいということですか」と、驚いて聞くと、
宮野さんは、
「基本的に名誉のみです。詳細はそれぞれの取り決めに依存することになると思います」
と説明した。もし、ひとつの研究に多くの受け取り手が競合したらどうするのだろうか。「誰に託すかは出品者の判断ですね」と宮野さん。
じつは今回のように他大学の研究者まで巻き込んだ「ガレージセール」は初めての試みだが、似たような企画を宮野さんたちは過去2回実施してきた。京都大学内だけで行なうイベント「京大100人論文」がそれ。研究者は日々の研究活動の中で、不得意な部分を誰かに助けてほしいと思うことがある。その場合、自分の研究内容を匿名で学内に展示し、閲覧した研究者がアドバイスやコメントを付箋紙に記入し、事務局がまとめて学内のサイトに公開する。
今回の「ガレージセール」の隣の会場では、この助け合いの仕組みの3回目が開かれる。宮野さんは「『ガレージセール』は、『京大100人論文』のスピンオフ企画という位置づけです。『京大100人論文』のほうは京都の銀行と提携しており、企業とのマッチングも積極的に行っています。まだ、ガレージセールにはどんな研究が出品されるかわかりませんが、京都大学の資源を大いに再活用していただきたいです」と語っていた。