コンプライアンスは単なる法令遵守だけではない!
3つ目の「やるべきこと」であるか否かについては、「どのように考えたらいいですか」という質問をよく受けます。
狭義には、「求められる製品、サービスであること」すなわち「ニーズがあること」で、強豪が多く持久戦になるようなものはダメ。すなわち、自分が想定しているマーケットで独自性をもってニーズを引き寄せられるか否かということです。
広義には、より重要な観点が含まれます。「やるべきこと」すなわち「やっていいこと」か否か、という観点です。端的にはコンプライアンス的に問題はないですね、という確認です。
この場合のコンプライアンスとは単なる法令遵守ではなく、モラル的に見て問題がないかという視点が必要です。さらに深く申し上げれば、「その事業に社会的意義がありますか」ということ。公序良俗に反するもの、単なるカネ儲け目的の事業はこの段階で「NO」が出るのです。
冒頭のコインチェック社は報道内容が事実なら、利用者の利益保護をないがしろにして自社の利益を優先した、つまりコンプライアンス的にみて大いに問題ありであり、私の判断基準では「やるべき」事業ではないと言えます。
事業を起こすとは、そんなに安易なものではありません。金儲けに走った挙句、他人に迷惑をかけて終わってしまう、そんな起業やビジネスが後を絶たない世の中ですが、基本はすべて上記の3点チェックに集約されるのです。
起業や新たなビジネスを思い立った人が周囲にいたら、ぜひ教えてあげて頂きたく思います。起業のとばっちりで、人生を狂わせられる方が一人でも減ることを祈っています。(大関暁夫)