コインチェック社長の誤算 そもそも起業のための3つの「やる」はありましたか?(大関暁夫)

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

コンプライアンスは単なる法令遵守だけではない!

   3つ目の「やるべきこと」であるか否かについては、「どのように考えたらいいですか」という質問をよく受けます。

   狭義には、「求められる製品、サービスであること」すなわち「ニーズがあること」で、強豪が多く持久戦になるようなものはダメ。すなわち、自分が想定しているマーケットで独自性をもってニーズを引き寄せられるか否かということです。

   広義には、より重要な観点が含まれます。「やるべきこと」すなわち「やっていいこと」か否か、という観点です。端的にはコンプライアンス的に問題はないですね、という確認です。

   この場合のコンプライアンスとは単なる法令遵守ではなく、モラル的に見て問題がないかという視点が必要です。さらに深く申し上げれば、「その事業に社会的意義がありますか」ということ。公序良俗に反するもの、単なるカネ儲け目的の事業はこの段階で「NO」が出るのです。

   冒頭のコインチェック社は報道内容が事実なら、利用者の利益保護をないがしろにして自社の利益を優先した、つまりコンプライアンス的にみて大いに問題ありであり、私の判断基準では「やるべき」事業ではないと言えます。

   事業を起こすとは、そんなに安易なものではありません。金儲けに走った挙句、他人に迷惑をかけて終わってしまう、そんな起業やビジネスが後を絶たない世の中ですが、基本はすべて上記の3点チェックに集約されるのです。

   起業や新たなビジネスを思い立った人が周囲にいたら、ぜひ教えてあげて頂きたく思います。起業のとばっちりで、人生を狂わせられる方が一人でも減ることを祈っています。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
姉妹サイト