ヤマト運輸などを傘下とするヤマトホールディングス(HD)は、約1100社の法人顧客との宅配便の値上げ交渉の結果、約4割が値上げを受け入れずに契約を打ち切ったと、明らかにした。2018年1月30日の発表。400社を超える法人顧客が他社のサービスに移ったことになる。
ヤマト運輸は2017年春、荷受けを減らす総量抑制と大口顧客を含む宅配運賃の引き上げを表明していた。
漁夫の利、日本郵便はウハウハ?
記者会見で、芝崎健一専務執行役員が大口の法人顧客との値上げ交渉がほぼ終了したことを明らかにしたうえで、「4割が他社を利用することになった」「もう少し他社を利用する法人が多いと思った」などと話した。
また、ヤマトHDは同日、2018年3月期(通期)の連結業績予想を上方修正した。営業利益は前回発表(17年10月)から60億円増の310億円に、純利益は25億円増の145億円とした。4~12月期の運賃単価は荷物1個当たり平均583円で、前年同期と比べて20円増えた。働き方改革に伴う環境整備のための設備投資などが増加したものの、27年ぶりの値上げが奏功した。
インターネットでは、
「消費者としては運賃が上がるのはいやだが、日本経済が物流無しでは考えられない点からすると、これまで評価が低かったんだと思う」
「完全に宅配事業者側が売り手市場だから、離脱して移ろうとした先も値上げするだけかと」
「4割ってスゴイけど、売上げが4割落ちるわけじゃないからな」
「ヤマトがブラック化してたのはAmazonとかの大口顧客のせいじゃなく、そういう連中の言いなりで契約を結んでそのしわ寄せを現場に押し付けた無能経営陣が原因でしょ?」
といった声が。
一方、日本郵便も30日、2017年4~12月のゆうパックの取扱数を発表。6億5616万8000個で、過去最多になったと発表した。年度末まで3か月を残して、これまで最多だった16年度の6億3242万1000個を超えた。
ネット通販の利用拡大に加えて、ライバルのヤマト運輸や佐川急便が17年秋に値上げしたため、日本郵便に顧客が流れているとみられる。