プロ野球の試合終了後の「ヒーローインタビュー」で、選手たちが「応援よろしくお願いします」とか「熱い声援よろしくお願いします」とか言うことがよくある。インタビューの締めくくりの言葉として、かなり定着している感じがする。
でも、これって、少しヘンではないだろうか――。
「応援」は応援する側が自主的にやるもの
そもそも、「応援」や「声援」は応援する側、声援する側が「自主的」にやるものである。それなのに、選手の側から「よろしくお願いします」と「強要」するのは、いささか厚かましくはないだろうか。
でも、選手諸君はまだ若い。言葉の使い方に不慣れなのは仕方がない。監督ともなれば、こんな言い方はしないだろう。そう思っていたら、去年(2017年)の日本シリーズで福岡ソフトバンクホークスの工藤公康監督と横浜DeNAベイスターズのアレックス・ラミレス監督がそろってインタビューに出てきた。
期待は裏切られた。工藤監督もやはり最後に「応援よろしくお願いします」と言っていた。ラミレス監督は英語で受け答えしていたが、最後にひとつだけ日本語を使った。「応援してください」。
どこのチームだったか、アメリカ人の選手がもっぱら英語で応答していた。そして最後に「応援よろしくお願いします」という通訳があった。僕には英語がほとんど聞き取れなかったのだが、いったい英語でなんと言ったのだろう?
しかし、この種の発言のおかしさに気づいている選手もいる。たとえば、イチロー選手だ。2015年1月、米大リーグ・マーリンズへの入団会見で次のように話した。
「『これからも応援よろしくお願いします』とは、僕は絶対に言いません。応援していただけるような選手であるために、自分がやらなくてはいけないことを続けていく、ということを約束して、それをメッセージとさせていただいてよろしいでしょうか」