その39 「応援よろしくお願いします」「こんなものいらない!?」(岩城元)

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   プロ野球の試合終了後の「ヒーローインタビュー」で、選手たちが「応援よろしくお願いします」とか「熱い声援よろしくお願いします」とか言うことがよくある。インタビューの締めくくりの言葉として、かなり定着している感じがする。

   でも、これって、少しヘンではないだろうか――。

  • 言われなくても応援してます!
    言われなくても応援してます!
  • 言われなくても応援してます!

「応援」は応援する側が自主的にやるもの

   そもそも、「応援」や「声援」は応援する側、声援する側が「自主的」にやるものである。それなのに、選手の側から「よろしくお願いします」と「強要」するのは、いささか厚かましくはないだろうか。

   でも、選手諸君はまだ若い。言葉の使い方に不慣れなのは仕方がない。監督ともなれば、こんな言い方はしないだろう。そう思っていたら、去年(2017年)の日本シリーズで福岡ソフトバンクホークスの工藤公康監督と横浜DeNAベイスターズのアレックス・ラミレス監督がそろってインタビューに出てきた。

   期待は裏切られた。工藤監督もやはり最後に「応援よろしくお願いします」と言っていた。ラミレス監督は英語で受け答えしていたが、最後にひとつだけ日本語を使った。「応援してください」。

   どこのチームだったか、アメリカ人の選手がもっぱら英語で応答していた。そして最後に「応援よろしくお願いします」という通訳があった。僕には英語がほとんど聞き取れなかったのだが、いったい英語でなんと言ったのだろう?

   しかし、この種の発言のおかしさに気づいている選手もいる。たとえば、イチロー選手だ。2015年1月、米大リーグ・マーリンズへの入団会見で次のように話した。

「『これからも応援よろしくお願いします』とは、僕は絶対に言いません。応援していただけるような選手であるために、自分がやらなくてはいけないことを続けていく、ということを約束して、それをメッセージとさせていただいてよろしいでしょうか」
岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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