精密機械メーカーのオリンパスが、社内で発生した内部告発をめぐり、また揉めている。企業・組織内の犯罪や不正を告発した社員の解雇や懲戒などを禁じている公益通報者保護法違反のおそれがあるとして、企業内弁護士が東京地裁に提訴した。
オリンパスは2016年に、やはり内部告発をめぐり不当な人事異動があったとして、同じ社員が2度にわたって提訴したことがある。
オリンパス「現時点で訴状を受け取っていないので......」
2018年1月29日付の朝日新聞は、オリンパスの社員(企業内)弁護士が「公益通報に不利益がある」として会社を訴えたと、報じた。
問題の発端は、オリンパス中国法人の法務本部長が、深センの製造子会社が中国の税関当局とのトラブル解決のために2014年に地元企業に支払った4億円に、贈賄の疑いがあるとの報告書をまとめさせたが、オリンパスは賄賂と認定しなかった。
その後、この法務本部長は第三者委員会を設置して調査すべきと主張し、2017年秋に社内に働きかけたが、17年11月に東京の新設部署の室長への異動が内示。この人事をめぐり、同僚の社員(企業内)弁護士が、公益通報者保護法違反のおそれを指摘するメールを社内の多数に送ったところ、メールを禁じられたため、提訴したとされる。
J‐CAST会社ウォッチ編集部が29日に取材したところ、広報担当者は「現時点で訴状を受け取っておらず、コメントのしようがありません」と話した。
ところで、オリンパスを提訴した「社員弁護士」、いわゆる企業内弁護士を採用する会社は増えている。採用企業数はこの10年で、じつに約6倍増、企業内弁護士数は7倍を超えている。
日本組織内弁護士協会の調べによると、2008年6月には158社、266人だったが、17年6月時点で937社、1931人に達した。5年前(2013年6月508社、953人)と比べても、2倍ほど増えた。
採用企業数のうち、最も多くの弁護士を抱えているのはヤフーで28人。野村證券、三井住友銀行、三菱商事が20人。丸紅、みずほ証券、三菱東京UFJ銀行の15人と続く。
10年前は、ゴールドマン・サックス証券(9人)や日本IBM、松下電器産業(現・パナソニック、各8人)、メリルリンチ日本証券(7人)、第一生命保険、モルガン・スタンレー証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、ゼネラル・エレクトロニクス、リーマン・ブラザーズ証券(現・野村證券)が各6人と、外資系企業を中心に多くの弁護士を抱えていた。