【新春編その4】ベッカムよりトランプ 五輪ボランティアは「アメリカ英語」ファースト!(井津川倫子)

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   なんと言っても五輪ボランティアの一番の特徴は「世界中から訪れる人」をもてなすことです。五輪会場や観光スポットでは、英語が母国語ではないノンネイティブの人たちも含めて「あらゆる種類の英語」が飛び交うことでしょう!

   今回は、五輪ボランティアに必要な「いろんな英語を聞き取る力」を鍛える方法をご紹介します。

  • 「アメリカ英語」ファーストで攻略しよう!
    「アメリカ英語」ファーストで攻略しよう!
  • 「アメリカ英語」ファーストで攻略しよう!

ヒアリングは「アメリカ英語」から攻略しよう!

   英語は世界の共通語ですが、国や地域によって発音やアクセントがまったく異なります。いわゆる「ジャパニーズイングリッシュ」なんてかわいいもの。世界を見渡せば、「英語」だと認識できないほど強い「なまり」で話す人たちがたくさんいますし、同じ英国人でもロンドン上流階級出身の俳優エディ・レッドメイン氏と、地方の労働者階級出身の元サッカー選手デイビッド・ベッカム氏では、「違うことば」に聞こえるほど発音やイントネーションが異なります。

   中国人やインド人が話す英語も独特ですが、意外? にもフランス人やドイツ人の「なまり」も相当なもの。五輪ボランティアを目指したら、「ありとあらゆる英語」に対処することを覚悟しましょう。

   では、この「ありとあらゆる英語」を聞き取るために、何をすべきでしょうか?

   人種のるつぼロンドンで暮らし、フランス人や中国人、ドイツ人やトルコ人たちとビジネスをしてきた私の時論は、「まずはスタンダード英語に耳を慣らせ!」です。

   最初に軸となるスタンダードな英語を叩き込んでおけば、「なまり」を聞き分ける応用力が身につくからです。

   五輪ボランティアを目指す方、とりわけ初心者の方が接するべき「スタンダード英語」は、ずばり「アメリカ英語」です。ニュースやドラマ、映画の世界では「アメリカ英語」が席巻していますし、「アメリカ英語」に耳を慣らしておけば、他の英語も聞き取れます。

   英語の世界では、「アメリカ英語」が本流だと思ってよいでしょう。

   ちなみに、私は最初にイギリス英語に耳を慣らしてしまったので、いまだに「アメリカ英語」の聞き取りが苦手です。正直、ビジネスの場面で「ハンディ」を感じることも少なくありません。「世界」を相手にする場合は、ベッカム氏よりもトランプ大統領が話す英語に耳を慣らしたほうが、圧倒的に有利なのです!

スペルは書かずに、耳で単語を覚えよう

   英語の長文読解や英作文は得意でも、聞き取りは苦手という方も多いでしょう。受験勉強で英語が得意だった人によく見られる傾向です。英単語をスペルで覚えていて、音で覚えていないパターンです。

   また、意外と盲点なのがアクセントです。英語は強弱がハッキリしている言語ですから、アクセントを間違えるだけで違うことばに聞こえます。私も、スペルを書いてようやく意味が通じるという「筆談」に何度も救われました。

   単語を覚える時は、アクセントにも細心の注意を払いましょう。

   じつは、英文読解や英作文と比べて、英語の聞き取りは上達を早く実感できます。ただし、方法を間違えないこと。正しい聞き取りトレーニングのコツは次の4つです。

(1) 単語を「耳」で覚える(発音とアクセントをセットで覚える)
(2) ワンランクレベルを下げたやさしい単語から始める
(3) 聞き流しではなく「精聴」をする
(4) 単語→短い例文→長文と、少しずつ長い文章に耳を慣らしていく

   まずは、英単語を「耳」で覚えることからスタートします。CDなど音声データ付きの教材を選んで、テキストを広げて音声を聴きながら覚えましょう。スペルを書かずに音を聴いて耳で記憶することを心がけます。映像は気が散るので、テキストと音声だけの教材の方がオススメです。 

   無理をして難しい英語にチャレンジするよりも、ワンランクレベルを下げて確実に聞きとれる単語から着手してください。基本単語ほどよく使われますし、単語を一つ、二つと聞きとれると、全体の意味を推測できるようになります。中学英語レベルの単語からスタートして、一語ずつ地道に増やしていきましょう。

穴埋めディクテーションは「一石二鳥」

   気をつけてほしいのは、「聞きながすだけ」の教材に手を出さないことです。聞き取る力は、聞き流すだけではぜったいに上達しません。集中してじっくりと聴く「精聴」しか正解はないとあきらめて(?)ください。

   「精聴」には、ディクテーション(英語音声を聞き取って、紙などに書き取る学習法)が効果的です。

   まずは、単語のディクテーションから始めます。音声を聴いて単語を書き取るトレーニングですが、スペルが間違っていても気にしないこと!集中して音を聴くことが目的ですから、スペルは二の次、三の次です!スペルを間違えても気にせずに、どんどん次の単語に進みましょう。

   単語ディクテーションの次は、穴埋めディクテーションにチャレンジします。英文を聴いて、ところどころ空欄を埋める勉強法です。書店には、「穴埋めディクテーション」の演習問題を掲載した教材がたくさんありますから、自分に合ったレベルを選んでください。

   「穴埋め」も、やさしいレベルから始めます。短い文章から始めて、少しずつハードルを上げて長い文章に挑戦していきましょう。穴埋めディクテーションをすると、聞き落としがちな単語も聞きとれるようになり、おもしろいほど耳が鍛えられます。イントネーションやアクセントにも強くなりますから、一石二鳥の効果があります。

   とはいえ、文章全体をディクテーションすることは避けて下さい。負担が大きい割には効果がありません。ところどころ単語を書き取る「穴埋め」で十分です!

   音読もオススメしません、我流のつたない発音に耳を慣らしてしまうよりも、とにかくお手本になるスタンダードな音声を耳に入れることが大事です。

   スタンダード英語を耳で覚えることができたら、自然とキレイな英語を話せるようになります。「英語は耳から」を信じて、英語を聴くことから始めて下さい。(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。TOEIC(R)L&Rテストの最新スコア970点。これまで英検、TOEIC、TOEFL、IELTSをすべて受験し、GMATにも挑戦。30年近く仕事をしながら英語を学び、海外駐在員として滞在したロンドンでは、イギリス式の英語学習法も体験した。「いくつになっても英語は上達できる」をモットーに、40代での英語やり直しを提唱している。現役ビジネスパーソンならではの実践的なアドバイスが「役に立つ」と人気。
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